ムーン・ハートピア・プロジェクト
 月は、世界中の民族の神話および宗教において、人間が死後おもむく世界とされました。ムーン・ハートピア・プロジェクトは、霊界のシンボルである月に地球人類の墓標としての「月面聖塔」を建立し、地上から故人の霊魂をレーザーの光に乗せて月に送る「月への送魂」の儀式を行なうプロジェクトです。「月への送魂」は2004年2月、北九州市のサンレーグランドホテルのオープン・イベントとして実行され、その後も何度か同所において行なわれています。「月面聖塔」は2020年の実現をめざしていますが、その巨大模型がサンレーグランドホテルのロビーに展示されています。将来的には、故人の分骨やデータを積んだロケットを発射して「月面聖塔」に納める予定です。
 月に墓がつくられれば、地球上での墓地不足も解消できますし、世界中どこの夜空にも月は浮かびますから、それに向かって合掌すれば、あらゆる場所で死者の供養をすることができます。また、埋葬によって死後の世界に対するネガティブな「地下へのまなざし」を持ってしまった生者にポジティブな「天上へのまなざし」を与えることにもなるでしょう。月を霊界に見立てることによって、死後の霊魂が天上界に還っていくと自然に思い、理想的な死のイメージ・トレーニングを無理なく行なえるはずです。
 月に墓をつくれば、当然、地球上での葬送儀礼の内容も変わってきます。葬儀とは、死者の霊魂が故郷である宇宙に還るのを送り出す「送儀」ということになります。お経が唱えられると、棺の上に死者の生前の姿がホログラフィー(立体映像)で浮かび上がります。死者のホログラフィーは、にっこりと微笑んでいて、参列者にさわやかで幸福な印象を与えます。それからホログラフィーは光の粒子になってレーザーのプロジェクターに吸い込まれ、今度はプロジェクターから夜空に浮かぶ月に向かってレーザーが飛ばされます。これで死者は月へと還っていったのです。
 壮大な夜のスペクタクル・セレモニーですが、これは決して思いつきでも奇をてらっているのでもありません。一つひとつの葬儀が実は宇宙的な出来事なのだということを人々に実感させ、コスモロジカルでエコロジカルな死生観を与えるために必要な演出なのです。

©一条真也

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