パンテオン・プロジェクト
 パンテオン・プロジェクトは、別名「多神教プロジェクト」です。
 2005年12月に古代ローマ風結婚式場「ヴィラ・ルーチェ」の庭園内に古代ギリシャ神殿「パンテオン」がオープンしました。全国初のオリュンポス12神がすべて一堂に会する万神殿です。パンテオンをつくった背景には、世界に深刻な危機感を与えている一神教の問題があります。
 私はつねづね、「結婚は最高の平和である」と言っています。人と人とがいがみ合う。それが発展すれば喧嘩になり、仲間を引連れてきて抗争となり、さらには9・11同時多発テロのような悲劇を引き起こし、最終的には戦争へと至ってしまいます。逆に、人と人とが認め合い愛し合う結婚とは究極の平和であると言えます。結婚ほど平和な「事件」はないのです。
 9・11の原因は複雑で、さまざまな要因が絡まっていますが、一つには、ユダヤ・キリスト教とイスラム教の対立という側面があります。そして、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教はその源を一つとしながらも異なる形で発展しましたが、いずれも他の宗教を認めない一神教です。宗教的寛容性というものがないから対立し、戦争になってしまう。
 一方、ギリシャ・ローマ神話の世界、そして八百万の神々をいただく日本の神道は多神教です。多神教の良さは、他の宗教を認め、共存していけるところにあります。自分だけを絶対視しない。自己を絶対的中心とはしない。根本的に開かれていて寛容です。他者に対する畏敬の念を持っています。多神教のこういった平和的側面は、そのまま結婚生活に必要なものではないでしょうか。結婚という人間界最高の平和と、多神教とは基本的に相性がいいのです。
 パンテオンの上方には、神社である「太陽の神殿」があります。いずれは両者を階段などの「聖なる導線」で結び、『ギリシャ神話』と『古事記』の世界が同じであることを表現したいと思います。また、「歴史はシュメールにはじまる」の言葉があるように、人類最古の文明はシュメール文明であるとされていますが、これも多神教でした。松柏園ホテルにはシュメールの聖なる岩「ペトログラフ」があり、ちょうど古代の結婚式に使われた七枝樹の文様が描かれていることから、この岩もパンテオンに移す計画です。
 かくして、シュメール、ギリシャ、ローマ、そして日本・・・・世界でもまったく例を見ない前代未聞の多神教ガーデンが誕生します。願いは、二つ。「日本における離婚の減少」と「世界における戦争の根絶」です。この上なく高い志にもとづくパンテオン・プロジェクトによって、「結婚は最高の平和である」が真実だという証明をしたいと思います。

©一条真也

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