ニライカナイ・プロジェクト
 ニライカナイとは、沖縄の西海の彼方にあるとされる豊かな国です。沖縄の島々では、一般に神はニライカナイにいると信じられています。このニライカナイは、常世(とこよ)と非常によく似ています。常世とは、日本の死者の国であり、日本人の深層意識の原点でもあります。柳田國男と折口信夫という日本民俗学の二大巨人が生涯をついやして追求したのが、この常世でした。柳田が80歳をこえた老齢で『海上の道』に取り組み、折口が死の前年に『民族史観における他界観念』を弟子に口述筆記させました。このことから、二人とも常世こそが日本人の魂の最も深い奥深い部分に食い入る意識だということを知っていたに違いないと私は確信します。
 常世の観念には、現世から他界をのぞみ、その分裂をいたましく思い、それだけその合一への憧れに身をまかせる感情が込められています。しかし、ニライカナイには、現世と他界との分裂や対立は見られず、相互の信頼のきずなは失われていないのです。そこはむしろ、祖霊神の住む島から現世をながめる視座が含められています。「ニライの大主(うふぬし)」が祝福を与える儀礼が沖縄では現在も行事化しているのです。
 私は、沖縄人の心の故郷、いや日本人の魂の原郷であるニライカナイに旅立って行ける葬祭会館をつくりたいという夢をずっと抱いていました。そして2003年5月、沖縄県最大の冠婚葬祭会社である(株)サンレー沖縄は、ついに八重山諸島でも最も美しい島である石垣島に「八重山紫雲閣」をオープンさせました。マリンブルーの色彩で彩られた同施設は、この世の天国のような川平湾を望む場所に建っています。夕日が沈む方向に、海上他界ニライカナイはあるといいます。毎日のように美しい夕日を浴びる八重山紫雲閣は、日本最南端に位置する葬祭施設でもあります。

©株式会社サンレー沖縄

image
このウインドウを閉じる