2011
01
株式会社サンレー

代表取締役社長

佐久間 庸和

「いよいよ45周年の年

 有縁社会づくりはサンレーの使命!」

45周年の年

 今年は、サンレー創立45周年の記念すべき年です。北九州本部では、大規模なシルバーカラオケ大会やグランドゴルフ大会などを企画しています。また、今年も多くの「隣人祭り」を中心とした隣人交流イベントの開催をサポートしてゆく予定です。これらの活動は、すべて「無縁社会」から「有縁社会」へ進路変更する試みです。
 わたしは、いま、冠婚葬祭互助会の全国団体である(社)全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)の理事であり、広報・渉外委員長です。わたしは、「無縁社会」が叫ばれ、生涯未婚に孤独死や無縁死が問題となる中、冠婚葬祭互助会の持つ社会的使命はますます大きくなると思っていました。
 しかし、最近は「無縁社会」の到来には、冠婚葬祭互助会そのものが影響を与えている可能性があると思っています。

互助会と無縁社会

 わたしが尊敬する経営学者ピーター・ドラッカーは、「大きなイノベーションの半世紀後に社会は一変する」と述べています。
 グーテンベルグが活版印刷術を発明した半世紀後には「宗教改革」が、ジェームズ・ワットが蒸気機関を発明した半世紀後には「産業革命」が起こったのが好例です。
 多くの大手互助会が誕生して約半世紀ですが、日本は「無縁社会」と呼ばれるような社会になってしまいました。わたしは両者には、何らかの関係があると思っています。
 互助会は、敗戦で今日食べる米にも困るような環境から生まれてきました。そして、わが子の結婚式や老親の葬儀を安い価格で出すことができるという「安心」を提供するといった志が互助会にはありました。
 しかし、おそらく互助会は便利すぎたのかもしれません。結婚式にしろ葬儀にしろ、昔は親族や町内の人々にとって大変な仕事でした。みんなで協力し合わなければ、とても冠婚葬祭というものは手に負えなかったのです。それが安い掛け金で互助会に入ってさえいれば、後は何もしなくても大丈夫という時代になりました。そのことが結果として血縁や地縁の希薄化を招いてきた可能性はあります。

セレモニーホール登場の影響

 また、現代日本人のほとんどは葬儀をセレモニーホール、つまり葬祭会館で行います。
 この葬祭会館には小規模なものから大規模なものまであります。しかし、いわゆる「総合葬祭会館」と呼ばれる大型施設は、1978年にオープンしたわが社の「小倉紫雲閣」が最初だとされています。
 その後、全国でも最も高齢化が進行した北九州市をはじめ、各地に猛烈な勢いでセレモニーホールが建設され、今ではその数は全国で6000を超えています。
 このセレモニーホールの登場が、また日本人の葬儀およびコミュニティに重大な変化を与えたと多くの宗教学の研究者が見ています。冠婚葬祭互助会が日本人の血縁や地縁を希薄化させ、セレモニーホールが仏教者から「こちら側」へ葬儀の主導権を奪ってしまったというのです。
 もし、そうだとしたら、互助会には大きな責任がある。ましてや、わが社の佐久間会長は(社)全互協の初代会長であり、互助会事業を法制化して業界発展の基礎を築きました。さらには、日本で初めて大型の総合葬祭会館を作ったのも、わが社です。

わが社の使命に気づく

 わが社には、「無縁社会」を「有縁社会」に変える、いや戻すという責任があることに気づきました。わが社は地縁再生のための「隣人祭り」の開催をサポートしていますが、その意味がやっとわかりました。
 わが社には、さまざまな「縁」にあふれた日本社会を再生させる使命と責任とがあるのです。
 もちろん、互助会の存在は社会的に大きな意義があることは事実です。戦後に冠婚葬祭互助会が成立したのは、人々がそれを求めたという時代的・社会的背景があったはずです。そうでなければ互助会はビジネスとして成立しえなかったからです。
 もし冠婚葬祭互助会が成立していなければ、今よりもさらに一層「血縁や地縁の希薄化」は深刻だったのかもしれません。
 つまり、敗戦から高度経済成長にかけての価値観の混乱や、都市への人口移動、共同体の衰退等の中で、何とか人々を共同体として結び付けつつ、それを近代的事業として確立する必要から、冠婚葬祭互助会は誕生したのです。

互助会イノベーションを起こせ!

 互助会がなかったら、日本人はもっと早い時期から、「葬式は、要らない」などと言い出した可能性は大いにあります。
 ある意味で、互助会は日本社会の無縁化を必死で食い止めてきました。しかし、それが半世紀以上を経て一種の制度疲労を迎えた可能性があると思います。
 制度疲労を迎えたのなら、ここで新しい制度を再創造しなければなりません。すなわち、今までのような冠婚葬祭の提供だけにとどまらず、互助会は「隣人祭り」によってイノベーションを図る必要があるはずです。
 もう迷いはありません。自分たちのしなければならないこと、するべきことが明確になりました。あとは、実行あるのみです。わたしは、「隣人祭り」によって、無縁社会を有縁社会にしたいと強く願っています。現在、わが社は「隣人祭り」を含む隣人交流イベントを年間300回以上開催をサポートしています。
 創立45周年の今年、さまざまなイベントを通じて、「有縁社会」づくりのお手伝いをしましょう!

 自らの使命を知れば迷いなく
    有縁めざして世直しすべし  庸軒