2014
08
株式会社サンレー

代表取締役社長

佐久間庸和

「人間尊重の『かたち』

 礼の実践に努めよう!」

●佐久間会長の新刊


 このたび、佐久間進会長の新刊である『人間尊重の「かたち」』(PHP研究所)が発売されました。タイトルにある「人間尊重」は、出光興産の創業者である出光佐三翁の哲学を象徴する言葉です。

 佐久間会長が若い頃、地元・北九州からスタートして大実業家となった佐三翁を深く尊敬しており、その思想の清華である「人間尊重」を創業した会社の経営理念としました。以後、わが社のミッションとなっています。
 サブタイトルは、「礼の実践五〇年」となっています。これは、出光佐三の著書『人間尊重五十年』(春秋社)を連想させ、そのまま佐三翁へのオマージュとなっています。

 本書の帯には、佐久間会長の笑顔の写真とともに、「本当の幸せとは何か――サンレーグループ会長、感謝の達人が語る『礼』の神髄」と書かれています。

 そして、「冠婚葬祭という事業の使命」「礼の実践」「日本人の『和』のこころ」「『支え合う社会』をつくろう」「サンレー式ホスピタリティの神髄」「サンレー式ホスピタリティの実践」といった章が並んでいます。

 

 

●出光佐三の「人間尊重」を知る


 「まえがき」の冒頭で、佐久間会長は50年前に出光佐三の言葉を初めて知ったときの感動を次のように綴っています。
 「社会とは人間が集まってできたものであるから人間は互いに仲良くすると、そして力を合わせることが大切です。それは人間の尊厳だからです。平和の基です。人間の美しさでもあります。私はそれを人間尊重と言っております」
 佐久間会長は「私の人生を振り返る時、礼の実践を通して、『人間尊重』とはどういう『かたち』になるのかを社会経営、社会貢献の中で目指してきたのではないか、そんな思いがしています」と述べています。佐久間会長は「人間尊重とは、人と人とがお互いに仲良くし、力を合わせることです」と喝破します。そして、互いに助け譲り合う「互譲互助」「和」の精神というものが神道の根幹を成す思想であることを示し、「自然と人間の調和こそが日本人の精神形成の基」であると述べています。

 

 

●日本人の素晴らしさを再認識する


 現在の日本では「無縁社会」などという言葉が流行するほど人間関係の希薄さが進行しています。佐久間会長やわたしも「日本は、日本人はダメになってしまうのではないか」と非常に危惧していました。

 ところが、2011年3月11日に発生した東日本大震災で、日本人は素晴らしい国民性を持っていることが再確認できました。
 あれだけの震災を受け、自分自身がこの先どうなるか分からない、死ぬかもしれない中で、暴動や略奪が起こらず、お互いが助け合い・支え合い・励まし合って生きようとする見事な姿勢。あれだけ追い詰められて先が見通せない時に秩序を守り、礼儀正しく、一杯の炊き出しごはんをいただくにもきちんと整列して何時間でも待っている姿。これには世界の人たちが日本人は大したものだと驚嘆し、称賛してくれました。他国ではあり得ない姿だったようです。

 

 

●支え合う社会へ


 わがサンレーをはじめ、冠婚葬祭互助会は「互助社会をつくろう!」「共生社会をつくろう!」「支え合う社会をつくろう!」というスローガンを掲げてきました。
 それらは、まさに日本人が持っている最大の美点を表現しています。わが社は、それを長年にわたって言い続けてきました。
 東日本大震災後、「絆」という言葉がクローズアップされています。絆とはまさに人と人の結びつきです。

 佐久間会長は「かつて絆を大切にしてきた日本人の心が覚醒し、お互いに助け合うこと、支え合うことが再認識され、われわれ冠婚葬祭互助会に対する評価も必ず上がってくると思います」と述べています。

 そして、「支え合う」ということを大きな柱に据えなければなりません。「助け合い」から「支え合い」へ。冠婚葬祭を通して、もう一度人と人との絆を結び直す時代が来ました。

 佐久間会長も「本格的にわれわれの目指す仕事がいよいよできるのではないかと、楽しみに感じているところです」と述べています。

 

 

●礼の実践50年


 「人間尊重」を経営の軸に、50年にわたり礼を実践してきた佐久間会長は、「私も齢80を迎えます。事業の節目、人生の節目を迎えるにあたり、次のステップへのきっかけにするべく、本書を記しました。次世代に向け、本書が何かしらのヒントになってくれれば幸いです」と書き記しています。まさに、この本は佐久間会長の人生と哲学が凝縮された一冊です。
 これからの企業には「アップデート」とともに「初期設定」というものが求められます。
47年前、佐久間会長は万人に太陽の光のように等しく冠婚葬祭のサービスを提供したいと願って、サンレーを創業しました。

 佐久間会長こそは、わが社の「初期設定」を行った本人です。わが社の「初期設定」を確認する上でも、佐久間会長の言葉を振り返ることができるという意味でも意義ある一冊であると思います。

 さらには、サンレーだけでなく、冠婚葬祭互助会事業の「初期設定」もこの本にはふんだんに書かれています。大きな曲がり角を迎える互助会業界にとって、一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)の初代会長でもある佐久間会長の言葉は大きな指針となるのではないでしょうか。
 サンレーグループのみなさんはぜひ『人間尊重の「かたち」』をお読み下さい。そして、ともに「礼の実践」に努めましょう!

 

  

 半世紀 礼を求めて来た道は
        支え合う世をつくる旅路か  庸軒