2017
04
株式会社サンレー

 代表取締役社長

  佐久間庸和

「美しき礼の島で誓い合う

 冠婚葬祭で『人間尊重』の実現を!」

●新入社員を迎えて

 4月1日、サンレーグループの入社式を行いました。今年も多くの新入社員のみなさんを迎えました。心より歓迎いたします。世の中の数多くある会社の中から、わが社を選んで下さったことに感謝しています。
 新入社員のみなさんは、これまで学生として授業料というお金を払って勉強していました。しかし、これからは会社が給料というお金を払います。
 お金を貰いながら勉強するわけですから、恵まれています。ぜひ、貪欲に色々なことを吸収していただきたいものです。
 わが社のミッションは「人間尊重」であり、「礼」の精神に通じます。具体的には、「冠婚葬祭を通じて、良い人間関係づくりのお手伝いをする」ということです。

●台湾での記念祝賀会

 先月は、サンレー創立50周年記念旅行が行われました。3班に分けられましたが、わたしは1班と2班に参加しました。本当は3班も参加したかったのですが、業界の大事な会議と重なって、まことに残念でした。
 1班の第1日目の夜は、アンバサダーホテルのバンケットで「50周年記念旅行祝賀会」が盛大に開催されました。
 佐久間会長に続いて、社長であるわたしが挨拶をしました。わたしは、まずは「無事に50周年記念の台湾旅行にみなさんと一緒に来ることができました。まことに感無量です。本当にありがとうございます」と心からの感謝を述べました。
 わが社が誕生した1966年、中国では毛沢東が「文化大革命」を起こしました。そのとき、「批林批孔」運動が盛んになり、孔子の思想は徹底的に弾圧されました。世界から「礼」の思想が消えようとしていたのです。

●「礼」の火を守った台湾

 まさに、そのとき日本でサンレーが誕生したわけですが、台湾では「礼」の火が燃えさかっていました。現在も、台湾には多くの孔子廟があり、多くの人々が参拝しています。
 わたしたちは創立30周年には韓国に、40周年には中国を訪れました。しかし、このたびの50周年には台湾に来られて本当に良かったです。日本を除けば、東アジアの中で、わたしの最も好きな国が台湾です。
 台湾の英語名は「Formosa(フォルモサ)」ですが、これは「美しい島」という意味です。台湾料理も旨いし、人々の人柄も良い。何よりも、台湾の方々の「一番好きな国」は日本という大の親日国です。
 わたしは、ウエディングドレスの仕入れや東アジア冠婚葬祭業国際交流研究会のミッションなどでこれまで何度も訪れていますが、行く度に好きになる国、それが台湾です。

●美しき礼の島

 もともと好きだった台湾へのわが想いは、ここ数年さらに募っていました。なぜなら、東日本大震災で、台湾からの義援金総額が「世界最高額」だったからです。
 日本が大震災で本当に困っているとき、周辺諸国は何をしたか。尖閣諸島や竹島という日本の領土を露骨に狙ってきました。まったく、隣国といっても油断のならない連中ばかりです。その中で、台湾のみが純粋な親愛の情を日本国民に届けてくれました。
 日本人は、台湾の人々が示してくれた「まごころ」を決して忘れてはなりません。これこそ「礼」そのものです。まさに台湾は、その姿も人の心も美しい島なのです。
 祝賀会の挨拶の最後に、わたしは「今夜はこの美しき『礼の島』で大いに美酒に酔いましょう!」と述べました。そして、「美しき礼の島にて開きたるわれらの宴 美酒を交わさん」という歌を披露して、降壇しました。

●孔子廟を訪問

 記念旅行の最終日となる3日目の最後、わたしたちは最終訪問地である「孔子廟」を訪れました。ここは、儒教の創始者である孔子を祀っている霊廟です。本国である中国はもとより、韓国、日本、ベトナム、マレーシアの各地にも建立されていますが、台湾にも複数の孔子廟が存在します。今回は台北市内にある孔子廟に参拝しました。
 わたしは、これまで日本各地の孔子廟に参拝していますが、この50周年を記念した台湾旅行でも、どうしても訪れたかったのが孔子廟なのです。建立は1897年、しかし、日本統治時代に病院へと変わり、1907年には取り壊され学校となりました。
 その後29年に再建、大成殿が完成しました。翌年以降、門や明倫堂が建てられ、2008年の修復を経ています。

●孔子の「礼」を求めて

 わたしたちは、日々、多くの結婚式や葬儀のお手伝いをさせていただいていますが、冠婚葬祭の基本となる思想は「礼」です。
 「礼」とは「人間尊重」ということです。わが社のミッションも「人間尊重」です。
 世界に数ある宗教の中で、儒教ほど葬儀を重要視するものはありません。孔子が開いた儒教は、何よりも「親の葬礼」を人の道の第一に位置づけました。人生で最も大切なことは、親のお葬式をきちんとあげることなのです。逆に言えば、親のお葬式をあげられなければ、人の道から外れてしまいます。わたしたちの仕事は、多くの方々に堂々と人の道を歩んでいただくお手伝いをしているのです。
 これほど、世のため人のためになる仕事はないと心から誇りを感じています。わたしたちの仕事は礼業です!
 わたしは、人類史上で最も孔子を尊敬しています。孔子ほど「社会の中で人間がどう幸せに生きるか」を追求した人はいません。
 50周年というわが社にとっての大きな節目に、わたしたちは台北の孔子廟に参拝し、孔子の「礼」の精神をしっかりと守っていくことを誓い合いました。

 美しき礼の島にて誓ひ合ふ
    天下布礼をさらに進めん  庸軒