2002
09
株式会社サンレー

 代表取締役社長

  佐久間 庸和

「万物は数である、数と仲良くしよう!」

 

 ご存じの方も多いと思いますが、「全互協」という組織があります。社団法人全日本冠婚葬祭互助協会の略で、平安閣グループ、玉姫殿グループ、高砂殿グループ、その他のすべて含んだ互助会の全国最大組織です。その全互協の初代会長が、実は当社の会長なのですが、私は現在、理事で広報委員となっています。
 広報委員としての私の役割は非常に大きなもので、対外広報を一人で担当しています。つまり、業界のニュースをマスコミなどに伝える係です。高度情報社会の中、しかも消費者契約法や情報公開法が成立して消費者もマスコミも互助会に熱いまなざしを注ぐ中、対外広報はとても重要な仕事だと自負しています。
 それとともに「互助会通信」という全互協発行の新聞の第一面に私がコラムを書くことになりました。「朝日新聞」でいえば、「天声人語」に相当するコーナーです。まあ私の雑文でも、業界のお役に立てるのならと引き受けました。
 その第一回目のコラムに私は数学のことを書きました。
 ノーベル経済学賞を受賞したジョン・ナッシュという天才数学者の生涯を描いた「ビューティフル・マインド」という映画が第74回アカデミー賞の作品賞に輝きました。私はこれを観てから数学の魔力にとりつかれ、多くの数学書を読破しました。
 数学と聞いただけで嫌な顔をする人もいるかもしれませんが、数学ほど面白いものはありません。「関ヶ原の合戦」の翌年に生まれたフェルマーの最終定理が証明されたのは約360年後の1995年。有史以来の最高の数学者と評されるガウスが天才ぶりを発揮していたのは、謎の浮世絵師・写楽と同じ江戸時代だし、ピタゴラスやユークリッドは紀元前の人です。受験とは無縁の世界で遊んでみると、数学は俄然面白くなります。
  「万物は数である」とはピタゴラスの言葉ですが、考えてみれば、あらゆるものは数に置き換えられます。一人の人間は、年齢・身長・体重・血圧・体脂肪・血糖値などで、国家だって人口、GDP、失業率などで表されます。そして、もちろん企業も、売上・原価・利益・株価といった諸々の数値がついてまわります。
 さらに当社の場合になりますと、前受金・募集口数・新規軒数・完納率・解約率・施行件数・施行単価など、毎日、膨大な数の洪水が私の頭の中を流れています。
 しょせん万物は数ならば、数を嫌わず、数と仲良くしたいものです。数学の難問は解けなくてよいですから、せめて日本という国とサンレーグループとみなさん自身に関する数はなるべく多く頭に入れておいてください。
 考えてみますと、人生の区切りとしての通過儀礼も数の世界です。
 七五三をはじめ、20の成人式、長寿祝いは61の還暦、70の古稀、77の喜寿と、100の上寿まで続きます。四十九日や十三回忌に代表される追善供養や年忌法要も数のオンパレードです。
 人は死ぬまで、また死んだ後も数と関わってゆくのです。みなさん、数と仲良くしましょう!