2008
06
株式会社サンレー

代表取締役社長

佐久間 庸和

「人の道から人類の道へ

 八大聖人のメッセージとは?」

●PHP新書の刊行

 4月に一条真也のペンネームで上梓した『世界をつくった八大聖人~人類の教師たち』がおかげさまで大変好評のようです。 特に今回は、『女性の品格』『親の品格』など多くの話題の書を世に送り出し、別名「ベストセラー工場」とも呼ばれているPHP新書からの刊行であり、注目の大きさも格別です。「人間尊重」というサンレー思想を広め、「天下布礼」を実現するために大きく前進したのではないかと喜んでおります。
 社員のみなさんの中にも、書店やネットで購入していただいた方が多いようで、心より感謝申し上げます。ぜひ、一人でも多くの方にこの本を読んでもらい、サンレー思想をより深く理解していただきたいと願っています。

●21世紀は大変な時代

 わたしたちが生きる21世紀は、どうやら大変な時代のようです。「戦争のない世紀」という希望とともに21世紀を迎えた人類を待ち受けていたのは、あの9.11同時多発テロからイラク戦争に至る相変わらずの一連の「憎悪」の連鎖、そして絶望でした。
 一方、地球環境の危機が叫ばれていますが、事態は深刻さを増すばかりです。このところ毎年のように、世界中から異常気象が報告されています。極地の氷は溶け出し、世界中の珊瑚礁は激減し、台風やハリケーンが頻発する。そして、熱波、寒波の襲来。これらは、いずれも地球温暖化の影響といいます。
 その他にも差別や病気や貧困などなど、人類はさまざまな難問に直面していますが、結局は「戦争」と「環境破壊」という二つの最大の難問が残ります。本当に厄介な難問です。

●教師の教えを思い出す

 難問に直面したとき、そしてどうしてもその解決策が思い浮かばないとき、どうすればよいか。個人レベルの問題なら、わたしは、子どものときに両親や先生から教わった教えを思い出すことにしています。
 両親はもちろんですが、幼稚園の先生にしろ小学校の先生にしろ、「挨拶をきちんとする」とか「人に迷惑をかけない」「ウソをついてはいけない」「悪いことをしたときは、素直に謝る」とか、とにかく人間としての基本、つまり「人の道」を教えてくれました。そして、それらの教えは大人になって何かで悩んでいるときに思い出すと、意外に解決策を与えてくれるものです。
 ならば、難問に直面し、大いに悩んでいる人類も、同じことをすればよいのではないか。つまり、かつて先生から教わったことを思い出すべきなのです。  わたしは、人類にとっての教師と呼べる偉大な存在を八人選びました。ブッダ、孔子、老子、ソクラテス、モーセ、イエス、ムハンマド、聖徳太子です。

●「人の道」から「人類の道」へ

 わたしは、八人の人類の教師たちの教えを徹底的に調べた結果、その共通思想として、「人の道」ならぬ「人類の道」というものを考えてみました。次のような内容です。
 1、水を大切にする。
 2、他者に思いやりをかける。
 3、他者からの思いやりに対して感謝する。
 4、挨拶をする。  5、困っている者を助ける。
 6、他者の生命を奪わず、自分も自殺しない。
 7、意味なく生きものを殺さない。
 8、他国を侵略しない。
 9、核兵器を使用しない。
 10、自国の文化に誇りを持ち、他国の文化を尊重する。
 11、他者が信仰する神や聖人を侮辱しない。
 12、一切の差別をしない。
 13、盗まない。
 14、強姦しない。
 15、結婚披露宴をはじめとした祝宴の招待には、可能な限り応ずる。
 16、親が亡くなったら、必ず葬式をあげる。
 17、地球環境に配慮した生活を心がける。
 数えてみると、偶然にも聖徳太子が作ったとされる憲法17条と同じ数でした。この17条は、聖徳太子を含む8人との魂の会話によって生まれたものですが、人類が他の生命に迷惑をかけないという「人類の品格」を示す「人類の信条(クレド)」ともなっています。

●冠婚葬祭が世界を救う

 そして、結婚披露宴についての第15条はムハンマドの、葬式についての第16条は孔子の、それぞれ教えに基づいています。でも、この2つを「人類の信条(クレド)」に入れたことは、冠婚葬祭人としてのわたしの意地であり、サンレーのメッセージでもあります。
 わたしは、ブッダ・孔子・ソクラテス・イエスの四大聖人に昔から強い関心を持っていました。地域も民族も思想も超えた、実に人類的な視点によるセレクトだからです。
 わたしは、その選者が日本人であったことに大きな感動を覚えました。まさに、神道と仏教と儒教を平和的に共生させた日本人ならではの心学的発想が四大聖人なのです。
 そして、モーセ、老子、ムハンマド、聖徳太子が加わり、八大聖人となりました。日本心学から世界心学へ。この8人が人類の「こころ」を結んでくれることを信じています。
 結婚は最高の平和であり、死は最大の平等です。日々の1件1件の結婚式や葬儀とは、「世界平和」「人類平等」に直結している。わたしたち冠婚葬祭人は、あらゆる宗教や哲学を超えて、人類の「こころ」を見るための最も見晴らしの良い場所にいます。そして、日々の仕事に精進していれば自然と人様に「人の道」を提供していることになるのです。
 さらに、その先に大いなる「人類の道」が開けています。ともに、この道を歩んで行こうではありませんか!

 人の道すすんで行けば
   人類の道が開けり われら歩まん  庸軒