2011
11
株式会社サンレー

代表取締役社長

佐久間 庸和

「おかげさまで45周年

 これからもホスピタリティを大切に!」

創立45周年を迎えて

 おかげさまで、この11月18日、ついにわが社は創立45周年を迎えます。
 45年前、つまり1966年はイギリスで音楽革命を起こしたビートルズが来日して、空前の大ブームを巻き起こしました。彼らの影響で日本には多くのグループサウンズが生まれ、若者たちの間では長髪が流行しました。アメリカでは大衆文化の革命を起こしたウォルト・ディズニーが亡くなり、中国では毛沢東がその名も「文化大革命」を起こしました。そんな年に誕生したサンレーは、日本で冠婚葬祭の文化大革命を起こす道を歩んできたように思います。
 今まで多くの出来事がありましたが、ここまで来られたのは社員の皆様のおかげです。心から感謝しております。早いもので、わたしも社長に就任してから10年が経ちました。

「思いやり」が一番大切

 記念すべき45周年を迎えて、思うことは「思いやり」の大切さです。企業とはつまるところ人間の集団ですが、「思いやり」こそは、人間として生きるうえで一番大切なものだと多くの人々が語っています。
 たとえばダライ・ラマ十四世は、人を思いやることが自分の幸せにつながっているのだと強調した上で、「消えることのない幸せと喜びは、すべて思いやりから生まれます。思いやりがあればこそ良心も生まれます」と語っています。
 あのマザー・テレサも、「私にとって、神と思いやりはひとつであり、同じものです。思いやりは分け与える喜びです。それはお互いに対する愛から小さなことをすることなのです」と語っていました。

「礼」と「ホスピタリティ」

 ここで注目すべきなのは、ダライ・ラマはブッダの教えを、マザー・テレサはイエスの教えを信仰する者であるということです。異なる宗教に属する二人が、「思いやり」という言葉を使って、まったく同じことを語っています。キリスト教の「愛」、仏教の「慈悲」、また儒教の「仁」・・・すべての人類を幸福にするための思想における最大公約数とは、おそらく「思いやり」の一語に集約されるでしょう。
 そして、その「思いやり」を形にしたものが「礼」や「ホスピタリティ」です。わたしは、5年前に「思いやり形にすれば礼となり横文字ならばホスピタリティ」という短歌を詠みました。おぼえていますか?ふたつとも、佐久間会長が長年にわたって説き続けてきた言葉であり、わが社のキーワードになっています。

21世紀における最重要テーマ

 洋の東西の違いはあれど、「礼」も「ホスピタリティ」もともに、「思いやり」という人間の心の働きで最も価値のあるものを形にすることに他ならないのです。
 茶道において「礼」は、「しつらい」「もてなし」「ふるまい」として形に表れますが、人との出逢いを一生に一度のものと思って最善を尽くしながら茶を点てる「一期一会」の精神も含め、まさにジャパニーズ・ホスピタリティというべき世界をつくっていると言えます。
 21世紀の姿を予言したダニエル・ベルは、脱・工業社会とは「人間が人間を相手に働く社会」だと言いましたが、ホスピタリティは21世紀における最重要テーマなのです。
 もともと「ホスピタリティ」hospitalityの語源は、ラテン語のhospes(客人の保護者)に由来します。本来の意味は、巡礼者や旅人を寺院に泊めて手厚くもてなすという意味なのです。

真の奉仕は「ヨコの関係」から

 この「客人の保護」という意味のhospesから派生して、長い年月をかけて英語のhospital(病院)、hospice(ホスピス)、hotel(ホテル)、host(ホスト)、hostess(ホステス)などが次々に生まれていきました。
 こういった言葉からもわかるように、それらの施設や人を提供する側は、利用者に喜びを与え、それらを自分の喜びとしています。両者の立場は常に平等であり、その関係は「ヨコの関係」です。
 ゲストとホストは、ともに相互信頼、共存共栄、あるいは共生の中に存在しているのです。その意味で真の奉仕とは、「タテの関係」としてのサービスではなく、ホスピタリティの中から生まれてくるのです。
 集団意識や家族意識という強い絆を持つ原始社会においては、ホスピタリティを核とした人間関係が社会の基本原理でした。
 しかし、社会が発展し、技術的革新が達成された近代社会においては、大きな変化がありました。ホスピタリティの意義は社会的なレベルから個人的な対人関係へと変ってきたのです。

ホスピタリティ・カンパニーをめざす

 奉仕とは、自分自身を大切にし、そのうえで他人のことも大切にしてあげたくなるといったものです。自分が愛や幸福感にあふれていたら、自然にそれを他人にも注ぎかけたくなります。「情けは人のためならず」と日本でも言いますが、他人のためになることが自分のためにもなっていることを知りましょう。
 「ホスピタリティ」こそは、わたしたちがハートフル・ソサエティをつくるための最大のキーワードです。ホテル、結婚式、葬儀、写真、司会、コンパニオン派遣、清掃、そして介護・・・わが社が関わるすべての事業は、ホスピタリティを必要とします。
 サンレーグループは、これからもホスピタリティ・カンパニーをめざします。そして、わたしたちはホスピタリティ・マインドを胸に、輝ける黄金の50周年「ゴールデン・フィフティー」へと向ってゆきましょう!
 今後とも、よろしくお願いいたします。

 思いやり人に示して自らも
      幸せになる社めざさん  庸軒