2016
11
株式会社サンレー

 代表取締役社長

  佐久間庸和

「おかげさまで50周年

 ミッショナリー・カンパニーへ!」

●創立50周年を迎えて

 おかげさまで、11月18日、ついにわが社は創立50周年を迎えました。
 50年前、つまり1966年はイギリスで音楽革命を起こしたビートルズが来日して、空前の大ブームを巻き起こしました。彼らの影響で日本には多くのグループサウンズが生まれ、若者たちの間では長髪が流行しました。
 アメリカでは大衆文化の革命を起こしたウォルト・ディズニーが亡くなり、中国では毛沢東が「文化大革命」を起こしました。
 そんな年に誕生したサンレーは、日本で冠婚葬祭の文化大革命を起こす道を歩んできたように思います。
 今まで本当に多くの出来事がありましたが、ここまで来られたのは社員の皆様のおかげです。心から感謝しております。早いもので、わたしも社長に就任してから15年が経ちました。

●「知命」とは何か

 『論語』には「五十にして天命を知る」とあります。いわゆる「知命」として知られていますが、そもそも「命」とは何でしょうか。
 陽明学者の安岡正篤によれば、何でもないことのようで、じつは自分を知り、自力を尽くすほど難しいことはないそうです。自分がどういう素質能力を天から与えられているか、それを称して「命」と呼びます。それを知るのが命を知る「知命」ということです。知ってそれを完全に発揮していく、すなわち自分を尽くすのが「立命」です。
 『論語』の最後には、命を知らねば君子でないと書いてありますが、これはいかにも厳しく正しい言葉だと言えるでしょう。
 命を立て得ずとも、せめて命を知らなければ立派な人間ではありません。水から電気も出ます。土から織物も薬品も出ます。これは水や土の命を人間が知って、命を立てたものなのです。自然科学は、この点で大いなる苦心と努力を積んできましたが、命とはかくのごとく先天的に賦与されている性質能力です。

●社会的使命としてのミッション

 「命」とは、いかようにも変化するものです。つまり、動きのとれないものではなく、動くものであるという意味において「運命」とも言います。運は「めぐる」「うごく」という文字なのです。
 異色の哲学者として知られた中村天風によれば、運命には2種類あるそうです。すなわち「天命」と「宿命」の2つです。天命は絶対で、宿命は相対的なものなのです。
 この天命こそ、「ミッション」という言葉で表現されるものでしょう。
 現在、ミッション・マネジメントという言葉をよく聞きます。「ミッション」という言葉は、もともとキリスト教の布教を任務として外国に派遣される人々を意味する言葉でした。しかし、現在はより一般的に、何らかの任務を担って派遣される使節団やそうした任務のもの、あるいは「社会的使命」を意味するようになってきています。

●ミッション経営とは何か

 ミッション経営とは、社会について考えながら仕事をすることであると同時に、顧客のための仕事を通して社会に貢献することです。すなわち、顧客の背後には社会があるという意識を持つ経営です。
 「会社は社会のもの」と喝破した人物は、世界最高の経営学者ピーター・ドラッカーです。わが社は、「選択と集中」「知識化」「イノベーション」など、数々のドラッカー理論に基づいて経営されました。
 会社は社会のものであるということは、会社は社会を構成する大きな要素だということです。多くの会社が心ある存在になれば、心ある社会が生まれるはずです。
 ミッションが企業価値を高める時代になってきました。目の前の利益だけを追い求める企業よりも、社会的使命としてのミッションの意識を明確に持って活動する企業が顧客と社会によって高く評価され、発展していくことになります。その意味で、ミッションとは企業の命そのものと言えるでしょう。
 ドラッカーは「仕事に価値を与えよ」と述べていますが、これはとりもなおさず、その仕事の持つミッションに気づくということにほかなりません。わが社は冠婚葬祭業を営む会社ですが、わたしは、この仕事くらい価値のある仕事はないと心の底から思っています。

●ミッショナリー・カンパニーに向かって

 2001年10月の社長就任時、わたしは「冠婚葬祭業とは哲学産業であり、芸術産業であり、宗教産業である」と訴えました。
 また、「結婚は最高の平和である」と「死は最大の平等である」を2大テーゼに、結婚式や葬儀の一件一件が人類の「平和」「平等」の実現につながっていると説きました。
 ミッションを明確に成文化して述べたものが、「ミッション・ステートメント」です。わが社では、36回目の創立記念日より、大ミッションを「人間尊重」、小ミッションを「冠婚葬祭を通じて、良い人間関係づくりのお手伝いをする」と定めました。
 そして具体的なステートメントとして、3年にわたって、8項目からなる「S2M宣言」を定めました。この「S2M」こそ、わが社の命そのものと言えるでしょう。
 ホテル、結婚式、葬儀、写真、司会、コンパニオン派遣、生花、清掃、そして介護・・・・・・。わが社が関わるすべての事業は、人間を幸せに、社会を良くする仕事です。
 サンレーグループは、これからも人間尊重思想を広める「天下布礼」という天命を知り、ミッショナリー・カンパニーをめざします。この大いなる使命を果たすには、みなさん全員の力が必要です。
 今後とも、よろしくお願いいたします!

 大いなる天命知りて世の中を
    明るくせんとさらに進まん  庸軒