気地

きち

 「病は気から」と言われるように、病気とは気の問題であり、病院について考える上でも「気」が重要なキーワードになります。東洋医学や東洋思想は、考え方の中心を「気」においています。宇宙には気という生命エネルギーが満ちています。人間や動植物は、宇宙から気のエネルギーを与えられて生まれ、また宇宙の気のエネルギーを吸収して生きているのです。東洋医学では、人間は天の気(空気)と地の気(食物)を取り入れて、体内の気と調和して生きているとされています。科学的に見れば、気は一つの波動なのです。したがって、気が乱れると病気になってしまいます。
 人間の身体とは気の流れそのものに他なりません。それは、ちょうどバッテリーのようなものです。バッテリーは放電ばかりしていると、電気がなくなってしまいます。長くもたせるためには、ときどき充電しなければなりません。人間も同様で、気の充電をしなければ「気力」もなくなり、「やる気」も起こらなくなって、ついには「病気」になって死んでしまいます。よく、非常に多忙な人が何日間かリゾートへ行ってきて、「たっぷり充電してきた」などと言いますが、あれは比喩ではなく、実は即物的な表現なのです。その人は実際に気を充電したのです。そして、病気の人とは気が不足している人であり、最も気の充電が必要とされるのです。病院は、リゾートと同じく、巨大な気の充電器とならねばなりません。いわば、生命力の基地としての「気地」にならねばならないのです。

一条真也
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