2002
08
株式会社サンレー

 代表取締役社長

  佐久間 庸和

「ワールドカップに学べ!!」

 

 日本中というより世界中を熱狂のウズに巻き込んだワールドカップが終了しました。全国サンレーグループ社員のみなさんも熱い声援を送ったことでしょう。私も日頃はサッカーの試合を見ないのですが、今回ばかりはロナウド、カーン、ベッカムといった世界のスーパースターのスーパープレーに大いに酔いました。
 ワールドカップを観戦して、気づいたことがいくつかあります。まず、よく言われることですが、数あるスポーツの中でもサッカーほど戦争の代用品となるものはないこと。各国の愛国心に基づくテンションはオリンピックの比ではなく、11人がそれぞれの役割を果たすべく一斉に動き出す様は、まさに「トラファルガー海戦」「日本海海戦」「ノルマンディー上陸作戦」などの史上に残る戦争のスペクタル・シーンを彷彿とさせます。フーリガンの暴動が懸念されたイングランド対アルゼンチン戦は無事に終わって良かったですが、日本対ロシア戦の後では、日本に敗れたロシア人が母国で暴れ、死者まで出る騒ぎになったといいます。おそらくロシアの人々にとっては、サッカーでの敗戦が「日露戦争以来の屈辱」と映ったのかもしれません。いずれにしても、愛国心、ナショナリズム、経済的格差から来るストレスなどのガス抜きとして、ワールドカップはすぐれた疑似戦争システムになっていると言えるのではないでしょうか。毎日ワールドカップをやっていれば、世界中で戦争は起きないのではないかとさえ思います。
 また、サッカーのチームというのは国家の軍隊だけでなく、会社にもよく似ています。サッカーは言うまでもなく団体競技であり、個人競技ではありません。会社もしかり。個人の力だけではやれることに限界があり、すぐれた業績をあげるには必ずチームプレーを必要とするものなのです。特にサッカーほど選手間の協力が必要なスポーツはなく、パスし合ってガードし合って、初めてゴールという結果になる。まさに「相互扶助」を形にしたものの一つがサッカーだと思います。スポーツにおける相互扶助がサッカーで、社会における相互扶助がボランティア。そして、経済における相互扶助システムこそ、われわれの冠婚葬祭互助会ではないでしょうか?互助会という職種も相互扶助そのものですが、サンレーという会社も相互扶助の心で、社員がお互いにパスやガードをし合って、見事にゴールを決めたいものです。
 サッカーは「スピード」のスポーツでもあります。90分間を全速力で走り回るのもすごいことですが、単にスピードということだけなら、陸上や水泳もそうでしょう。しかし、サッカーが陸上や水泳と違うのは「変化への対応のスピード」を必要とすることです。攻守の状況は一瞬にして変化する。それに応じてすばやく動く。まさに当社の「S2M」にある「スピード・トゥー・マーケット」そのものです。市場の変化への迅速な対応なのです。
 なぜ、サッカー選手は変化への迅速な対応が可能なのか。それは、サッカーが「情報ネットワーク」のスポーツだからです。各人がそれぞれに情報を得たら、すばやく他の選手に伝える。サッカーとは、十一角形の情報ネットワークが常にアメーバのように形を変えながら動いている競技だと思います。先ほどの「相互扶助」とも重なりますが、サンレーグループも社員全員が必要な情報を共有して、互いが得た情報をすばやく交換して、市場の変化に対して迅速に対応できる会社でありたいものです。
 最後に、今回のワールドカップで忘れられないのは、韓国がイタリア戦で大逆転したあの執念です。あの執念を、日本人はすべて見習わなくてはなりません。サンレーグループの平成14年度上期実績は、残念ながら100%にわずかながら足りませんでした。サッカーで言えば、前半戦が終了して一点ビハインドというところです。ぜひ韓国のあの執念を思い起こして、後半戦は二点以上取って、忘年会では勝利の美酒に酔いましょう!