第26回
一条真也
『日本がもし100人の村だったら』

 池上彰著・協力 池田香代子(マガジンハウス)

 かつて、『世界がもし100人の村だったら』(マガジンハウス)という本が大きな話題となりました。
 もともとはチェーンメールだったそうですが、この地球に住む世界の人々を数字で理解するというものでした。
 本書はその「日本編」です。
 いま日本には、1億2780万人の人が住んでいます。2050年には1億人を切り、2100年には6400万人になります。いまの半分ですね。
 人口の内訳を見てみましょう。51人は女性で、49人は男性です。64人は大人で、13人は子ども、23人はお年寄りです。そのうち75歳以上の人は11人です。
 100人のうち、2人は外国籍の人です。そのうち1人は中国、韓国、北朝鮮の人で、あとはブラジルやフィリピンやペルー、それにアメリカなどの人です。
 100のうちの50人は、東京や大阪や名古屋の大都市圏に住んでいます。そして、10人が住む東京が、村のお金の42%を稼いでいます。
 日本の世帯が100世帯だったら、31世帯はひとりで暮らしています。若い人100人のうち、82人は結婚していません。いずれ結婚するつもりの人は89人です。未婚の人100人のうち、73人は親と同居しています。一年で100人が結婚すると、34人が離婚します。
 若い人100人のうち、9人は決まった仕事につきません。また、3人は働くつもりがありません。働いている若い人100人のうち、46人が非正社員です。
 働く年齢の人が100人だったら、6人は失業しています。働いている人100人のうち、女性は41人です。幼児をもつお母さん100人のうち、38人が働いています。保育園に入るのを待っている子は25人です。
 100世帯のうち、26世帯は貯金がありません。2世帯は生活保護を受けています。子ども100人のうち、15人は食べるものや着るものに困り、ふつうの暮らしができません。けがや病気をしても治療が受けられない子もいます。
 100人のうち1.5人は認知証です。2030年には3人になります。そして4人は介護が必要な人です。
 60年前、亡くなる人100人のうち85人が自宅で亡くなりましたが、いまは85人が病院で亡くなります。
 いかがですか。こうやって日本を100人の村に置き換えてみると、いろんな真実が見えてきますね。現代日本の等身大の姿を知ることはとても大切だと思います。ぜひ、ご一読をおすすめします。