第90回
一条真也
『日本の心は銅像にあった』丸岡慎弥著(育鵬社)

 

 とても興味深い本を見つけました。
 日本各地にある銅像の解説本です。
 表紙には紫式部、楠木正成、真田幸村、勝海舟らの銅像写真が使われています。
 帯には「どうぞ、見にきて下さい」のダジャレが書かれています。著者は銅像教育研究会(そんな会が存在することを初めて知りました)の会長だそうです。
 この本の監修者は、上智大学名誉教授の渡部昇一氏です。わたしも対談させていただいた渡部氏ですが、「教育で大切なことは『良いイメージ』をさせること」として、以下のように述べています。
「かつての日本においては、少なくとも小学生から中学生くらいまでは素晴らしい日本人や、見習うべき大人の話をたくさん教えていました。そのおかげで子供たちは良いイメージができるようになったのです。物事が成就するか否かは『イメージの力』が大きく左右します」
 そこで銅像から偉人をイメージしながら伝えていこうというのが本書です。 銅像には、その偉人の歴史的偉業の瞬間を切り取った姿のものも多いです。
 また銅像には、しぐさや向いている方向、建てられた場所など細部にわたり多くの人々の想いが込められています。
 ですから、子どもだけではなく、あらゆる日本人に大切なことを思い出させてくれると、渡部氏は言います。
 「あとがき」で、著者の丸岡氏は以下のように述べています。
「銅像は時空を超えて私たちに『感化・影響』を与えてくれているのです。私は銅像のそのような効果を『時空を超えた感化』と言っています。銅像には、しぐさ・向き・大きさなどすべてのことに意味が込められています。私は一体でも多く、この銅像について調べ、一人でも多くの方に銅像を通じてその偉人の生き方を伝えていきたいと思っています」
 じつは、わたしは三度の飯より銅像が好きであります。正確には、銅像の真似をして写真に写ることが好きなのですが・・・(笑)。
 しかし、これは単におふざけでやっていることではありません。
 「銅像」は偉大なる先人たちの憑代(よりしろ)であり、そのポーズには何かしらのメッセージが潜んでいます。その偉人と同じポーズをとることで偉人の志を感じることが大事なのです。これは先人に対する「礼」でもあり、その精神を学ばせていただいているのです。もともと「学ぶ(まなぶ)」という言葉は「真似ぶ(まねぶ)」から来ています。銅像の真似をすることには意味があるのです!
 というわけで、25人の偉人の銅像を紹介した本書をどーぞーお読み下さい!