第33回
一条真也
「思い出せば死者と会える」モーリス・メーテルリンク

 

 言葉は、人生をも変えうる力を持っています。今回の名言は、ベルギーの作家モーリス・メーテルリンクの言葉です。ノーベル文学賞も受賞した彼は、有名な『青い鳥』という戯曲を書き残しています。幸せの青い鳥を探して旅をするチルチルとミチルの物語です。
 わたしは、『青い鳥』とは臨死体験の物語であると思っています。そして、そこには「死者のことを思うことが、死者との結びつきを強める」というメッセージが込められているとも思います。
 青い鳥を求めて、チルチルとミチルが訪れた「思い出の国」は、濃い霧の向こう側にありました。そこは、乳色の鈍い光が一面にただよう死者の国です。この「思い出の国」で、チルチルとミチルは亡くなった祖父と祖母に再会します。
 自身が偉大な神秘主義者であったとされるメーテルリンクも、『青い鳥』の中で「生きている者は、思い出せば死者と会える」と主張しているのです。メーテルリンクの時代は、世界的に「スピリチュアリズム」と呼ばれる心霊主義が流行していた時期でしたが、彼は現代のホスピスにおけるターミナルケアまで予見していたのです。