第9回
一条真也
「見舞いのこころ」

 

 「看礼」という言葉をご存じでしょうか。病気やケガの人をお見舞いする礼法です。高齢化社会を迎え、家族が病院に入っている家庭が多くなりました。ほかにも病院には病気やケガで苦しんでいる患者さん、お見舞いの人々、医師をはじめとする病院関係者、付き添いの人々など、多くの人がいます。ここでも一つの社会が形成されているのです。
 病院を訪れる場合は、医師、看護士、付き添いの人に感謝の気持ちを言葉と態度で表しましょう。同室の人には、同じく感謝と元気付けの言葉をかけるようにしたいもの。「いかがですか?」とか「お大事に」といった愛語がよいでしょう。
 結局は、社会人として良好な人間関係作りを心がけることが大切です。入院患者さんの多くは、品物よりもむしろ人が来ることを楽しみにしています。でも、むやみな訪問もかえって気遣いをさせてしまいがちです。また、女性の患者さんなどは、やつれた姿を見られたくないため、訪問を嫌うことも。時、場合、状況に応じては「行かないことがかえって良い見舞い」という言葉もあります。くれぐれも相手の気持ちをよく想像して判断したいものですね。