2007
04
株式会社サンレー

代表取締役社長

佐久間 庸和

「会社は社会のものである

 そして、仕事ほど面白いものはない!」

●心ゆたかな社会は、心ゆたかな会社から
 今年も多くのフレッシュマン、フレッシュウーマンが入社してきました。心より歓迎いたします。社長として、新入社員のみなさんの人生に関わることに対して大きな責任を感じています。そして、大いに期待しています。
 新入社員のみなさんが入ったのは、サンレーグループという会社です。サンレーグループには「ハートフル・カンパニー」というニックネームがあります。「心ゆたかな会社」という意味ですね。
 そして、サンレーグループは「ハートフル・ソサエティ」というものを創造したいと願っています。これは「心ゆたかな社会」という意味です。
 いじめ、虐待、自殺、殺人、テロ、戦争に代表されるような心なき社会、つまり「ハートレス・ソサエティ」に向かって、私たちは進みつつあるように思えます。 そんな流れの中で、サンレーは冠婚葬祭業を中心に「思いやり」「感謝」「感動」「癒し」などを提供するハートフル・カンパニーとなることによって、社会の流れをハートフル・ソサエティへと進路変更するエンジンの役割を果たしたいのです。

●会社は社会のもの
 ハートフル・カンパニーのカンパニーは「会社」、ハートフル・ソサエティのソサエティは「社会」です。「会社」や「社会」とは、そもそも何でしょうか。
 陽明学者の安岡正篤(やすおかまさひろ)という人は、人が集まると、その中心に「社(やしろ)」ができると述べています。つまり、人の集まりの中心には神社がつくられる。そこから会社という社、さらには社会という大きな社が生まれるということを言っています。また、経営学者のピーター・ドラッカーは、「会社は社会のもの」と言っています。
 「心ゆたかな社会は、心ゆたかな会社から」とは私の口癖ですが、会社とは社会にものであり、社会とは会社の集まりでもあるのです。

●福沢諭吉の教え
 ずばり、「会社」と「社会」という日本語を発明したのは、福沢諭吉だそうです。ともに「人の集まり」という意味ですが、福沢は英語のcompanyを見て、これはsocietyとほとんど同じだと気づき、「社会」という漢語をさかさまにして「会社」という新しい単語をつくったのです。
 その福沢諭吉は、「心訓七則」という有名な言葉を残しています。本当は福沢本人が述べた言葉ではないとも言われているようですが、新入社員のみなさんに送るメッセージにふさわしいと思うので、あえて紹介します。

一、世の中で一番楽しく立派なことは、一生を貫く仕事を持つことである。
一、世の中で一番みじめなことは、教養のないことである。
一、世の中で一番さびしいことは、仕事のないことである。 
一、世の中で一番みにくいことは、他人の生活をうらやむことである。
一、世の中で一番尊いことは、人に奉仕して決して恩を着せないことである。
一、世の中で一番美しいことは、すべてのものに愛情を持つことである。
一、世の中で一番悲しいことは、嘘をつくことである。

●仕事とは何か
 まず出てくるものは「仕事」です。人は仕事を持って社会と接します。そして、その仕事によって自分の存在を認めてもらう。さらには、仕事によって退屈にならずにすみ、人格も能力も鍛えられる。達成感や満足感も仕事が与えてくれるのです。みなさんの場合は、仕事の場とは会社です。つまり、会社とは自己実現の場なのです。
 そして、仕事には貴賎はありません。もし貴賎があるとすれば、その仕事に従事するその人の心にあるのです。大事なことは、仕事というものは自分のためだけではなく、仲間のため、家族のため、そして社会のために役立つものでなければならないということです。
 サンレーグループは「人間尊重」を大ミッションとし、「冠婚葬祭を通じて良い人間関係づくりのお手伝いをする」を小ミッションとしています。社長である私をはじめ、多くの社員はこの仕事に大いなるプライドを抱いています。この冠婚葬祭という仕事ほど、世のため人のためになる貴い仕事はないと私自身は確信しています。

●仕事は面白い!
 仕事について考えるとき、肩に力を入れる必要はありません。もちろん、その仕事の使命感や、その仕事によって社会を良くしたいという「志」を持つことは必要です。でも、何よりもまず、仕事とは楽しいものなのです。仕事があるおかげで、私たちは、さびしい思いをしなくてすむのです。
 幕末の志士である高杉晋作は「おもしろき/こともなき世を/おもしろく/すみなすものは/心なりけり」という辞世の歌を残していますが、たしかにこの世を面白くするのは心次第でしょう。そして、仕事に対する心がけ次第だと私は思います。仕事ほど、面白いものはありません。
 新入社員のみなさん、ぜひこの会社で仕事を楽しんで下さい。そして、楽しみながら、ともに社会を良くしていこうではありませんか!

 おもしろき こともなき世を おもしろく
       すみなせるのは 仕事のおかげ  庸軒