第20回
一条真也
「夫婦は1人の天使である」

 エマニュエル・スウェデンボルグ

 言葉は、人生をも変えうる力を持っています。今回は、ちょっとスピリチュアルな名言をご紹介します。17世紀にスウェーデンで生まれた神秘哲学者であるエマニュエル・スウェデンボルグの言葉です。

 巨大な霊能力の持ち主としてあまりにも有名な彼は、科学者としても超一流でありながら、人生の後半以降を霊的研究にすべてを捧げ、他に例のない独自の哲学、人間観、宗教思想をつくりあげた人物です。

 誰も開かなかった巨大な地平線を人類の前に開いてみせたのがスウェデンボルグでした。科学者でもあった彼は、数学をはじめとして多くの学問分野で、150冊もの大著を書いています。多くのノーベル賞学者がスウェデンボルグの物理学、生理学、医学などの業績に舌を巻いています。
 また、ストリンドベリをはじめ、ドストエフスキーなど多くの世界的文学者、思想家が影響を受けました。

 アメリカの思想家で詩人のエマーソンは、スウェデンボルグを「北欧のアリストテレス」と賞讃し、同時にその著書のいくつかを「真に人類の宝」と評価しています。

 そんな精神界の巨人であったスウェデンボルグは、真の結婚の霊的な秘密を知ったといわれています。1768年、彼はアムステルダムで結婚の問題を扱った大著『結婚愛』を出版しました。

 そこで、彼は真の結婚愛は天国と地上の根元的愛であり、そこから他のすべての喜びが流れ出ていると言っています。

それでは「真の夫婦愛」の本質とは何か?スウェデンボルグは次のように説きます。天国では、夫は知性と呼ばれる心の部分を代表し、妻は意志と呼ばれる部分を代表している。この和合はもともと人の内心に起こるもので、それが身体の低い部分に下ってくる時に知覚され、愛として感じられるのである。そしてこの愛は「婚姻」の愛と呼ばれる。両性の天使は身体的にも結ばれて1つになる。つまり天国にあっては、「夫婦は2人の天使ではなくて1人の天使である」と述べました。これが天国の天使たちの「真の結婚愛」です。

 実際、スウェデンボルグは天国から1組の夫婦がやって来るというビジョンを見ています。そこで、その夫婦は2人に見えはしたけれども、1人の天使のようでした。2人は完全にお互いを補い合っていたからです。まさに男性も女性も超えた魂の結びつき!真の結婚とは、「結魂」なのです。