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一条真也
「むすびびとのミッション」

 

 今回は結婚式の話をしたい。わたしは冠婚葬祭会社を経営しており、各地の直営ホテル・結婚式場で結婚式のお世話をさせていただいている。
 そこで、わたしたちは「結婚は最高の平和である」という言葉を大切にしている。赤の他人同士であるにもかかわらず、人と人とが認め合い、愛し合い、ともに人生を歩んでいくことを誓い合う。まさに結婚とは「最高の平和」ではないだろうか。
 わたしは、日々お世話させていただくすべての結婚式が、「世界平和」という崇高な理念を実現する営みであるととらえ、わが社の婚礼スタッフ、すなわち「むすびびと」一同が心からのサービスに努めている。
 そんな大切な「結婚式」が最近は軽視されているようだ。ここでは気になる2つのデータを紹介したい。
 まず1つ目は入籍をしたが結婚式はしていない、いわゆる「ナシ婚」についてのデータである(みんなのウェディング「ナシ婚」に関する調査2015)。これによると、入籍者の実に約半数が結婚式をしていないことのこと。ちなみにナシ婚の三大理由は「経済的事情」「さずかり婚」「セレモニー的行為が嫌」と続いている。
 そして2つ目は「結婚式を実施した理由について」(ゼクシィ結婚トレンド調査2015)、その回答では「親・親族に感謝の気持ちを伝えるため」「親・親族に喜んでもらうため」「友人など親・親族以外に感謝の気持ちを伝えるため」と続く。  興味深いのは、「ナシ婚」の理由が自分たちの都合であるのに対し、「した派」の理由は親族・友人へとベクトルが向いているところである。あえていうなら、「利己的理由」と「利他的理由」の違い、と言うことができないだろうか。
 それでは「ナシ婚派」は、本当に感謝の気持ちを届ける必要性はないと考えているのだろうか。答えは「NO」である。ナシ婚三大理由を克服し、「感謝の気持ちを届ける」きっかけ作りをしていくことも、むすびびとたちの新たなミッションだろう。