第11回
一条真也
「人生は、アルバムづくり」

 

 新聞の読者投稿欄に、アルバムに関するエピソードを見つけました。ご年配の主婦の方からです。夫婦の思い出を記録した一冊のアルバム。1枚目は希望にあふれた婚約時代の写真で、結婚式、出産、家の新築と幸せな思い出の写真が続きます。しかしその後、ご主人は脳梗塞で倒れ半身不随となり、奥様は職を離れ、介護生活に入ります。
 今年、ご主人は70歳の誕生日を迎え、子どもや孫たちも揃ってお祝いの席を設ける。その時の写真は夫婦とも笑っています。でも、この記念すべき写真を貼ると、ちょうどアルバムのページ数が尽きてしまった。
 この後いつの日か余白を残したままぷつりと終わるであろう2冊目に入るべきか、記念の笑顔の写真をもって一応の完結とすべきか。奥様は大いに迷っておられるとのこと。
 まさに人生とは、アルバムづくりですね。最近、写真は撮られましたか?常に新しい写真を撮ることが、いきいきと生きる秘訣かもしれません。いい顔の写真が増えるほど、人生のアルバムは豊かになります。私は、ぜひ2冊目のアルバムに入るべきだと思います。