第10回
一条真也
「美しい言葉遣い」

 

 何気なく使われている言葉でも、その人の人間性が表われてくるものです。どんなに身だしなみや立ち居振る舞いが立派でも、言葉遣い一つでそれが壊されてしまい、相手に不快感を与えたり、傷つけたりするものです。
 若い人たちの言葉には、新語や流行語が次々と出てきます。年長者が聞いても何のことか理解に苦しむことが多々あります。「日本語の乱れ」が叫ばれてから久しいものがありますが、今では若い人の間では乱れなど通り越して、まるで宇宙人の言葉みたいです。
 しかし、言葉遣いは人間関係を良くする魔法ともなります。そこで、最低限必要なのが普通語と尊敬語の違いを知ることです。普通語とは、気のおけない家族や友人の間で使う言葉です。尊敬語とは、目上の人やお客様に対しての言葉です。
 代表的な例をあげると、「する」の尊敬語は「なさる」、同様に「いる」は「いらっしゃる」、「来る」は「おいでになる」、「言う」は「おっしゃる」、「食べる」は「召し上がる」、「見る」は「ご覧になる」、「聞く」は「お聞きになる」といったような使い方になります。
 要するに、相手の立場を考え、相手を思いやる心を持って、美しい、ていねいな言葉遣いをすることが大切なのですね。