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一条真也
「愛犬の死〜ハリー、さよならは言わないよ」

 

こんにちは、一条真也です。
歴史的猛暑だったこの夏、わが家では悲しい出来事がありました。
わが家の愛犬というより、家族の一員であったハリーが、亡くなったのです。
8歳でした。オスのイングリッシュ・コッカースパニエル犬でした。
亡くなる前の夜から姿が見えないので探し回っていたら、家の床下のさらに奥の部分に潜り込んでグッタリしていました。
家族総動員で何とか引っ張り出しましたが、様子がおかしいので、動物病院に連れて行こうとしましたが、あいにく時間が遅かったこともあり、かかりつけのお医者さんに連絡が取れませんでした。
緊急病院もたくさん当たりましたが、少し症状が落ち着いてきたので、このまま無理して移動させるよりも休息をとらせて、明日の朝一番で病院に連れて行くことにしました。
妻が心配してハリーに添い寝してやりましたが、午前4時頃から呼吸が荒くなりました。
それでも、保冷剤で冷やしたり、撫でてあげたりするうちに、寝たようなので、朝まで寝かせて、それから病院に連れて行きました。
てっきり猛暑による熱中症かと思っていたのですが、病院では腹水が溜まっていて心臓も弱っていると診断されました。注射などを打って、いったん帰宅しました。
でも、しばらくして様態が急変し、それから息を引き取りました。
ちょうど夏休みで、娘たちも家にいましたが、家族みんなで泣きました。
わたしもずっとハリーと一緒にいてあげたかったのですが、今日は会社の大事な会議が行われていて、どうしても出なければなりませんでした。
泣きながら会社に向かう前、みんなでハリーを棺に納めて、たくさん花を入れてあげました。ハリーは、わが家の庭に咲く花が大好きだったからです。
長女はハリーを出棺までずっと優しく撫でてやり、次女はハリーの似顔絵付きのお手紙を書いて棺に納めていました。妻はたくさんの花を、わたしはハリーが一番お気に入りだったフリスビーを棺に納めてあげました。
ハリーの死によって、わたしたち家族の「こころ」は一つになりました。
ハリーは、自らの死をもって、「家族みんなで助け合って、いつまでも仲良くしてね!」ということを伝えたかったような気がしてなりません。
わたしは、いろいろと考えるところもあり、思いつめて生きている人間です。 
そんなわたしが一番リラックスできるのは、ハリーと遊んでいるときでした。
『葬式は必要!』や『ご先祖さまとのつきあい方』を脱稿したときも、お祝いにハリーとフリスビーしました。わたしは、ハリーにどれだけ慰められたかわかりません。本当に、涙がとまりません。
でも、わたしは、死が永遠の別れではないことも知っています。 
ハリーの棺が自宅を出るとき、家族全員で合掌し、見送りました。
そして、わたしは「ハリー、また会おうね!」と呼びかけました。
今度生まれ変わっても、ハリーとまた家族になりたいです。
ハリー、今まで、ありがとう!
君のおかげで、家族のみんながたくさん元気をもらいました。
たくさん君から癒してもらいました。
本当に、本当に、ありがとう! これからは、わが家のみんなを見守ってね。
「さよなら」は言わないよ。だって、いつか、また会えるから。
夜は、いつも一緒に月を見上げたね。
「なんで、ウチのパパさんは月ばかり見てんの?」って、不思議な顔をしてたね。
「ハリー、今夜はちょうど美しい満月だ。君の魂も、月に着いた頃だろうか?
ハリー、いつかまた月で会おうね。そして、またフリスビーしようね!」
頭ではわかっていても、やっぱり涙が出てきます。
ハリー、やっぱり君がいなくなるなんて、寂しいよ・・・・・。
君のことは絶対に、絶対に忘れないから。
月を見上げるたびに、君を思い出すから。
ハリーのお骨は、生前、彼が住んでいた「Harry's House」と名づけた家に納めています。ハリーによく似た犬の人形、お気に入りだったフリスビー、おやつのビーフジャーキー、そして水も一緒にお供えしています。「四十九日」を迎えたら、庭の中の彼が気に入っていた場所にお墓をつくってあげようと思っています。
ハリーが亡くなってから18日経ったとき、ガーデニング・ショップで天使像を2体買ってきて、「Harry's House」の入口に置きました。 
きっと、この天使たちがハリーを天国で守ってくれるでしょう。
「四十九日」とか「天使」とか、仏教とキリスト教が混在しています。 
でも、そんな宗教の違いなど、わたしには関係ありません。
ハリーがあの世で幸せになれるなら、「何でもあり」なのです。
天使といえば、子どもの頃、テレビアニメの「フランダースの犬」の最終回で、主人公のネロと愛犬パトラッシュが一緒に天使に導かれて天国へ旅立つ場面を思い出しました。
天使とは、魂を自由にして、天国に連れていってくれる存在なのですね。ならば、いつもわたしの魂を自由にしてくれたハリーこそは、わたしにとっての天使だったのかもしれません。
「Harry's House」に向かって合掌しながら、わたしは言いました。
「おーい、ハリー!今どこにいるんだい?元気でやってるか?」
2010.10.01