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一条真也
「黄金の国ミャンマー〜上座部仏教の国で見たこと」

 

こんにちは、一条真也です。
4月10日から14日まで、ミャンマーに行ってきました。
わたしは北九州市の門司にある「世界平和パゴダ」を運営する「日緬仏教文化交流協会」の理事です。同協会は、日本とミャンマーの仏教文化の交流促進を目的としています。それなのに、わたしはまだミャンマーを訪れたことがありません。
わたしにとって初めてのミャンマー行きでしたが、最近、仏教徒とイスラム教徒の抗争が激しいとのことで、社員や家族は心配していました。でも、今回は大きなミッションがありますので、気を引き締めて行ってきました。
ミッションとは、現地の上座部仏教の祭事である「水祭り」の視察です。わたしは、この祭りを「パゴダ祭り」として「世界平和パゴダ」のある門司港で行いたいと考えています。
百田尚樹氏の『海賊とよばれた男』が本屋大賞を受賞しましたが、作品のモデルは出光興産の創業者である出光佐三です。かつて出光佐三は、門司商工会議所の会頭時代に「門司みなと祭り」を門司港でスタートさせました。その70年後、同じ地で小生が「パゴダ祭り」をスタートさせるわけです。壮大なロマンに胸が熱くなりますが、2つの祭りを貫くキーワードは、もちろん「人間尊重」です。
10日の朝、わたしはタイ国際航空(TG)649便で福岡空港からタイのバンコクに飛び、そこからTG305便でヤンゴンに向かいました。
いま日本でも熱い注目を浴びているミャンマーですが、正式にはミャンマー連邦共和国といいます。
東南アジアの共和制国家で、1989年まではビルマと呼ばれていました。中国、ラオス、バングラデシュ、インドと国境を接しています。以前はヤンゴンが首都でしたが、現在の首都はネピドーです。多民族国家として知られますが、人口の6割をビルマ族が占めます。その他は、カレン族、カチン族、カヤー族、ラカイン族、チン族、モン族、ヤカイン族、シャン族の少数民族があります。
ヤンゴン空港に着くと、モワッとした空気が流れてきました。
気温が30度ぐらいあって、非常に暑いです。
迎えの車に乗り込みましたが、トヨタのマークⅡの中古車でした。
ヤンゴン市内には日本製のバスや乗用車がたくさん走っています。
また、ジープやトラックの荷台に多くの人が乗っていました。
今日開通したばかりという陸橋を渡って、ホテルに向かいました。
空港から30分ほど車で走って、ホテルに到着しました。「チャトリアム ホテル ロイヤル レイク ヤンゴン」というホテルですが、以前は日航ホテルだったそうです。
わたしの部屋は9階でしたが、窓を開けると、真下にプールがありました。
プールサイドはレストランになっていて、多くの人で賑わっています。遠くには、有名なシュエダゴン・パゴダのライトアップされた幻想的な姿が浮かび上がっていました。
翌11日の朝は、小鳥のさえずりととともに目が覚めました。ヤンゴンは灼熱の真夏で、暑いです! やはり、ここは東南アジアなのだと納得します。
さて、ミャンマーはパゴダの宝庫です。
一口にパゴダと言っても、その数は膨大です。
それこそミャンマー国内には大小あわせて数万のパゴダが存在します。
それぞれ実にさまざまな形をしており、それぞれの物語も持っています。
パゴダは、ミャンマー人の生活に深く関わっているのです。
今回の訪問では、「世界平和パゴダ」と呼ばれるガバーエイ・パゴダ、巨大な「寝釈迦像」で有名なチャウッタージー・パゴダ、「坐像のパゴダ」として知られるチェイン・ティッサー・パゴダ、「洞窟パゴダ」と呼ばれるガバーエー・ライン・グードゥー、ファンタジックなマハウィザラ・パゴダ、そしてヤンゴン最大のシュエダゴン・パゴダを訪れました。
特に、シュエダゴン・パゴダの壮大さ、そして壮麗さに圧倒されました。
なんというか「仏教テーマパーク」といった観さえあります。
ミャンマーの黄金に輝くパゴダの存在は知っていましたが、ここはもう黄金の洪水といった感じです。
パゴダは、日本では「仏舎利塔」の名で知られる宗教施設です。
ブッダの遺髪や遺骨の一部を奉納していると言われています。
ミャンマーの人々にとって、パゴダは心の支えであり、「生」のシンボルでもあります。
中でも、ヤンゴンのシュエダゴン・パゴダは特別な存在で、じつに2500年の歴史を持つとされています。塔の高さは99.4メートル。基底部の周囲は433メートルあります。塔には5000を超すダイヤモンドや1300個のルビー、ヒスイが飾られており、まさに天上界の建造物のようでした。
シュエダゴン・パゴダを歩き回っていると、まるでお伽話の国に来たようです。
ブッダの生涯をお伽話風に絵で紹介した「ジャータカ物語」の塔もありました。
それを見上げていたら、ちょうど子どもの得度式が始まりました。
多くのミャンマーの子どもたちが着飾って大人たちに抱えられ、行列となって過ぎて行きました。この国では、宗教儀礼が生き生きと輝いています。それは、やはり信仰心の強さから来るものでしょう。
パゴダの周辺には仏画もあり、さらには菩提樹もありました。
わたしは、菩提樹の下に座り、足の裏をさすっていました。固い石の舗道をずっと裸足で歩いていたのですが、一昨年に骨折したほうの足が痛くなったのです。しかも35度を超す灼熱で舗道も熱くなっており、足の裏がヒリヒリしていました。
13日の朝、ホテルのスタッフたちから「ハッピー・ニューイヤー!」と声を掛けられました。そう、4月13日から17日までがミャンマーでは正月に当るのです。スーチーさんが来日した13日は、ミャンマーでは元旦というわけです。水祭りというのも、正月行事なのでした。
チケット代を払った客が水かけ台に上がり、上から下を通る車や通行人に向けてホースで散水するのです。街のあちらこちらでも、水をかけ合っていました。ただし、僧侶・警察官・郵便配達人・妊婦にかけることは禁じられているそうです。
水かけ台も市内各所に設けられており、想像以上に大掛かりでした。
これを「パゴダ祭り」として門司港で行うには、少しアレンジが必要かもしれません。
13日の夜、ヤンゴン空港を発ち、再びバンコクを経て、14日の早朝に福岡空港に到着しました。今回は、「黄金の国」ミャンマーを満喫しました。
みなさんも、機会があれば、ぜひ行かれて下さい!
2013.5.1