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一条真也
「命には続きがある〜『命』と『死』と『葬』を語り合う」

 

こんにちは、一条真也です。 
新刊『命には続きがある]』(PHP研究所)が刊行されました。「肉体の死、そして永遠に生きる魂のこと」というサブタイトルがついています。
東京大学医学部大学院教授で東大病院救急部・集中治療部長の矢作直樹先生とわたしの「命」と「死」と「葬」をめぐる対談本です。
本書は、矢作先生の『人は死なない』(バジリコ)とわたしの『愛する人を亡くした人へ』(現代書林)という2冊の本がクロスオーヴァーした内容です。
帯には「愛する人は死なない」というキャッチコピーに続いて、「臨死、霊聴、霊夢、交霊、体外離脱、憑依、お迎え現象・・・・・見えない存在をめぐって、生と死の交差点に立つ者同士が語り合う。人を看取り、葬送する意義、悲嘆にくれる人を癒すグリーフケアについての温かい思索」と書かれています。
また、カバーの前そでには「死は終わりではない」、後そでには「死は不幸ではない」と大きく書かれています。この2つの言葉こそは、矢作先生とわたしの共通した考えであり、1人でも多くの方に伝えたい想いです。
わたしは、2011年10月4日に東大病院を訪れ、矢作先生と初対面しました。
そのときのことを矢作先生は本書の「はじめに――生と死の交差点に立つ者同士」の中に書かれています。わたしについての過分な評価も書かれており、大変お恥ずかしいのですが、わたしたちの対話の雰囲気がわかっていただけるのではないかと思います。矢作先生は次のように書かれています。
「わざわざ病院のほうにお越しいただき、初対面させていただきました。 その中で洗練された文章の裏には幼少時からご自宅の書庫に蓄えられた父上の膨大な蔵書を読破されてこられたことをお聞きして感心しました。
それとともに、この文章のもとになる豊富な現場経験をお持ちでいらっしゃることを確認して納得がいきました。本書を手にされた方は、一条真也氏について私よりもよくご存じの方も多いとは存じますが、ご存じない方のためにすこしご紹介すると、50冊を超える著作を持つ作家として、つとに有名ですが、同時に冠婚葬祭業を営まれる企業の代表、経営者としての顔をお持ちです。社長室で執務をするだけではなく、時には葬儀や結婚式などの儀式の現場に立ち会われているとお聞きしています。つねに日本人の死生観と冠婚葬祭業界の使命を熱く語られる姿には、私のほうが年上ではありますが、心から尊敬に足る人物の一人であることを書き添えておきます」
まことに恐縮の至りですが、わたしも「あとがき――グリーフケアの時代」で次のように書きました。
「不思議な運命の糸に手繰り寄せられてやっと会えたわたしたちは、長い間ずっと喋り通しでした。 こういうことを言うと不遜かもしれませんが、これほど話題や考え方が自分と合う方には久々にお会いしました。京都大学こころの未来研究センター教授で宗教哲学者の鎌田東二先生以来の運命の出会いかもしれません。とにかく、二人でずっと『命』と『死』と『葬』について夢中になって語り合いました。 矢作先生が担当されている患者さんの名前をお聞きして、わたしは驚きました。間違いなく我が国における超VIPの方々ばかりです。矢作先生ご自身が日本を代表する臨床医なわけですが、そんな凄い方が『魂』や『霊』の問題を正面から語り、『人は死なない』と堂々と喝破されました。
これほど意義のあることはありませんし、ものすごい勇気が必要だったと思います。しかし、現役の東大医学部の教授にして臨床医が『死』の本質を説いたことは、末期の患者さん、その家族の方々にどれほど勇気を与えたことでしょうか! 多くの死に行く人々の姿を見ながら、多くの尊い命を救いながら、またあるときは看取りながら、矢作先生は真実を語らずにはいられなかったのです。
まさに、矢作直樹先生こそは『義を見てせざるは勇なきなり』を実行された『勇気の人』であると思います」 『命には続きがある』の目次構成は、以下のようになっています。
はじめに「生と死の交差点に立つ者同士」   矢作直樹
第1部 死の不思議――スピリチュアル体験の真相
第1章:死の壁を越えて
第2章:見える世界と見えない世界をめぐって
第3章:死者=霊魂は存在するか
第2部 看取り――人は死とどう向き合ってきたか
第4章:日本人の死生観を知る
第5章:死を受け入れるために
第6章:日本人の死に欠かせないもの
第3部 葬送の意味――人はいかに送られるのか
第7章:葬儀という儀式に込められたもの
第8章:人は葬儀をするサルである
おわりに「グリーフケアの時代」 
この目次構成を見てもおわかりのように、矢作氏とわたしは霊や魂といった、いわゆるスピリチュアルな問題についても正面からガチンコで語り合っています。わたし自身、これほどスピリチュアルな話題を語ったのは、『ロマンティック・デス~月と死のセレモニー』(国書刊行会)以来ではないでしょうか。
そして何よりも、医療界のトップにある方とわたしのような冠婚葬祭業者が「死」について徹底的に語り合ったのは世界でも初めてだと思います。
心から尊敬すべき方と対談する機会に恵まれ、それが単行本にもなり、わたしは本当に幸せ者です。おそらくは、多くの冠婚葬祭業界の関係者も本書を手に取って下さることと思います。
そして、真の葬儀のあり方について考えて下さることと思います。
この対談で、わたしは、愛する人を亡くした人の悲しみを軽くするための「グリーフケア」の重要性についてお話しました。ここ最近、わたしは「グリーフケア」の普及をめざしています。グリーフケアは医療・葬儀・そして宗教の3つのジャンルが協力しながら進めていくべき「こころ」の仕事です。
『愛する人を亡くした人へ』が刊行された当時、「グリーフケア」などということをいう人はほとんど誰もいませんでした。いま、東日本大震災以降、日本にも本格的な「グリーフケアの時代」が到来したと言われています。『愛する人を亡くした人へ』を上梓して早くも8年が経過しましたが、本書もまたグリーフケアの機運を高める一助になることを願っています。
2013.7.1