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一条真也
「入社式で新入社員に語ったこと」

 

 4月1日、わが社の入社式を行った。今年も多くの新入社員を迎えたが、「社歌斉唱」の後で「入社発令」をした。社長であるわたしは、すべての新入社員の名前を一人ずつ読み上げ、心を込めて辞令を交付した。その後、わたしは、新入社員たちにメッセージを伝えた。
 冒頭で「入社おめでとうございます。心より、みなさんを歓迎します」と述べた後、以下のように語った。
 いつも入社式の日になると、社長として、新入社員のみなさんの人生に関わることに対して大きな責任を感じる。そして、世の中の数多くある会社の中から、わが社を選んでくださって感謝の気持ちでいっぱいだ。
 わが社のミッションは「人間尊重」であり、「礼」の精神に通じている。具体的には、「冠婚葬祭を通じて、良い人間関係づくりのお手伝いをする」ということ。冠婚葬祭は目に見えない「縁」と「絆」を可視化して、わたしたちの目に見せてくれる。
 究極の「おもてなし」とは、魂に働きかけること、魂のお世話をすることだと思う。その意味で、冠婚葬祭業は最高の「おもてなし産業」だ。結婚式は新郎新婦の魂を結ぶ「結魂」の、葬儀は故人の魂をあの世へと送る「送魂」の儀式だからである。
 考えてみれば、人の人生も桜のようなもので、満開のときに結婚式をあげ、散りゆくときに葬儀をあげるのかもしれない。わたしは、人の一生を桜にたとえ、「花は咲きやがて散りぬる 人もまた婚と葬にて咲いて散りぬる」という短歌を詠んだ。
 入社式の夜、小倉の松柏園ホテルで新入社員歓迎会を開いた。ホテルの庭園に咲く夜桜がライトアップされていて、とても綺麗だった。
 そこでも冒頭で挨拶を行ったが、冠婚葬祭のプロフェッショナル人生を今日から歩みはじめた新入社員たちに、「日の本の礼の社に咲く花は 人をもてなす若き桜よ」という餞の歌を詠んだ。若き桜たちよ、最高の「おもてなし」で、一人でも多くの日本人を幸せにしてほしい。