06
一条真也
「七五三で子や孫の成長を確認する」
 七五三の季節だが、少子化で一人当たりの子供にかける金額は増加している。最近は、ホテルなどで神式・衣装・写真・食事を一体化した「七五三パック」が人気のようだ。
 日本には古来より「七歳までは神の内」という言葉や、7歳までに死んだ子どもには正式な葬式を出さず仮葬をして家の中に子供墓をつくり、その家の子供として生まれ変わりを願うといった習俗があった。
 つまり、子供というものはまだ霊魂が安定せず「この世」と「あの世」の狭間にたゆたうような存在であると考えられていたのである。
 七五三はそうした不安定な存在の子供が次第に社会の一員として受け入れられていくための大切な通過儀礼だ。一般に3歳の男女児と5歳の男児、7歳の女児を対象に、これまでの無事の感謝と更なる成長を祈願して氏神に参詣する儀礼だが、その時代や地方によって年齢と性別の組み合わせはさまざまで、2歳や9歳で同様の儀礼を行うところもある。
 11月15日という日付の由来にも諸説あり、地方によっては必ずしもこの日に行われてはいなかったようだ。
 現在のような華美な七五三の風景は明治以降のものである。七五三では、子供の無事の成長を祝う。人間の場合は、外敵もいないわけではないが、むしろ病気や飢餓で亡くなる子供が多かった。貧しい家では、産むことさえ難しかった。
 人形の「こけし」とは「子消し」であり、わが子を消すという悲しみから供養をした親の沈痛な心情が、そこに込められているのだ。かくも子供が無事に成長するということは大変なことだったのである。
 だからこそ、七五三で子や孫の成長を確認する喜びはひとしおである。子供の方も、幼いながらも親の愛情を一身に浴びて育てられているという実感が、ハレの着物や珍しい千歳飴などから伝わってくる。幼いなりに、親に深く愛されているという安心感と満足感、感謝の念が、心の中に湧いてくるのではないだろうか。