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一条真也
「和婚で平和な結婚を!」

 

 歌舞伎役者の片岡愛之助さんと女優の藤原紀香さんの結婚披露宴が9月28日、東京・日比谷の帝国ホテルで行われた。23日には、世界遺産の京都の上賀茂神社で挙式されたそうである。まことに、おめでとうございます!
 歌舞伎界のプリンスの1人である愛之助さんが神前結婚式を選んだことは自然な流れだろうが、いま一般の人々の間にも神社で永遠の愛を誓う「和婚」ブームが起きている。
 以前、わが社の結婚式場で挙式されたカップルの追跡調査を行ったことがある。わが社では、神前式をはじめ教会式、人前式とあらゆるスタイルの結婚式を提供しているが、調査の結果、興味深いデータが出た。
 なぜか神前式をあげたカップルの離婚率が、その他のスタイルに比べて、とても低いのである。興味を抱いたわたしは、他の結婚式場やホテルの経営者にもたずねてみたが、答えは同じであった。
 なぜ神前式のカップルは離婚しにくいのだろうか。いろいろ理由はあると思うが、何よりも神道という宗教の本質と結婚という行為は相性が良いのではないかと思う。
 もともと結婚とは、男性と女性が結びついて新しい生命をつくり出す、「産霊(むすび)」の行為を意味する。神道における最上のコンセプトだが、わが社の「サンレー」という社名も、この「産霊」に由来している。
 ユダヤ教、キリスト教、イスラム教はその源を1つとしながらも異なる形で発展したが、いずれも他の宗教を認めない一神教である。宗教的寛容性というものがないから対立し、戦争になってしまう。
 一方、八百万の神々をいただく多神教としての神道の良さは、他の宗教を認め、共存していけるところにある。自分だけを絶対視しない。自己を絶対的中心とはしない。根本的に開かれていて寛容である。他者に対する畏敬の念を持っている。
 このような神道の平和性は、そっくりそのまま結婚生活に必要なものではないだろうかと思うのである。