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一条真也
スターの葬儀
 歌手の西城秀樹さんが63歳で亡くなった。その葬儀・告別式が5月26日に東京の青山葬儀所で開かれた。
 ともに「新御三家」と呼ばれた野口五郎さんや郷ひろみさんら芸能関係者とファン計1万人超(主催者発表)が参列し、一時代を築いたスターとの別れを惜しんだ。
 祭壇は、西城さんが大阪球場で開いた伝説的コンサートにちなんで、バラの花などで球場のスタンドを再現。その前には愛用の白いマイクスタンドが設置された。ファンは会場の外まで長い列を作った。
 弔辞に立った野口さんは「秀樹」と呼びかけ、笑顔の西城さんの遺影を見つめながら「もう頑張らなくていいから。おまえの思うラブソングを天国で極めてくれ」と声を震わせた。
 郷さんは「日本中の人々から愛された秀樹の歌、そして笑顔はこれからも人々の心の中に、しっかりと刻まれていくことでしょう」と述べた。2人とも見事な弔辞であった。
 最近の大物芸能人や俳優の死去がなぜかリアルタイムで知らされず、「葬儀は近親者のみですでに終えたという」といった報道に接するたびに、強い疑問を抱いていた。
 「昭和」の大スターだった石原裕次郎さんも美空ひばりさんも、亡くなったと同時にニュース速報が流れ、青山葬儀所で営まれた告別式には多くのファンが参列した。
 最近の「知らせない」風潮に対して、あえて物申したい。歌手にしろ、俳優にしろ、芸能人というのはファンあってのもの。ファンに支えられて生活し、輝かしい人生を送ってきたはず。ファンには長年応援してきた芸能人がこの世を去った日にそれを知り、その日に悲しむ権利がある。
 その意味で、西城秀樹さんの葬儀は本物のスターの葬儀であった。心より御冥福をお祈りしたい。