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一条真也
儀式の国
 天皇陛下の御即位にあたり、日本文化の核ともいえる儀式群が斎行された。10月22日、「即位の礼」の中心的な御儀たる「即位礼正殿の儀」が平安絵巻さながらに執り行われた。荘厳かつ美しかった。
 即位の礼は、日本の天皇が践祚後、皇位を継承したことを国の内外に示す一連の国事行為たる儀式であり、最高の皇室儀礼とされている。その中心儀式となる「即位礼正殿の儀」は、諸外国における戴冠式、即位式にあたる。
 国内外の代表が参列する中、天皇陛下は高御座で即位を公に宣言されたが、その場は、皇室の長い歴史を伝える装束や調度品で華やかに彩られた。
 11月14日の夕方から15日の夜明けまでは、「大嘗祭」の中心儀式である「大嘗宮の儀」が皇居・東御苑で古式ゆかしく行われた。これは天皇陛下が皇位継承に伴い、一世に一度だけ行う皇室伝統の大がかりな神事だ。即位の礼・大嘗祭と一連の儀式を合わせ、「御大礼」とも称される。
 儀式産業そして儀式文化に携わる者として、いま、この時代に立ち会えた幸運に感謝するばかりだ。新しい御代が誰にとっても平穏で、そして儀式の華ひらく時代となることを心より願う次第である。
 大嘗祭の終わった15日は、全国各地で七五三が行われた。わたしは「大嘗の祭終わりて七五三 儀式なくして日の本はなし」という歌を詠んだ。
 儀式は「礼」を形にしたものである。「令和」の時代は「礼輪」の時代となるように思う。至るところで冠婚葬祭が大切にされ、「おめでとう」と「ありがとう」の声が行き交う社会が実現するのである。
 ちなみに、「礼輪」とは、全国に広がる冠婚葬祭互助会のネットワーク、つまりは全互協のことでもある。これからの新時代、各互助会は力をあわせて、大きな礼の輪を咲かせようではないか。