第5回
一条真也
「おにぎりは、思いやりのシンボル」

 

 最近、『あなたの夢はなんですか?私の夢は大人になるまで生きることです』(池間哲郎著・致知出版社)という本に出会いました。モンゴルのマンホールチルドレンをはじめ、アジアの貧困地区に暮らす子どもたちの実話です。たいへん感動しました。何か自分もしなくてはと思いました。どんなに苦しくても懸命に生きるアジアの子どもたちの話をぜひ、わが娘たちにも教えてやろうと、本を見せました。すると、著者の講演を聴いたことがあるとのことでした。
 小学生の二女などは、毎週一回、弁当のおかずを抜いて「おにぎりの日」をつくり、おかず分のお金をモンゴルに寄付しているそうです。おにぎりといえば、最近、北九州市で「おにぎりが食べたい」と言って孤独死された男性がいらっしゃいました。この痛ましい出来事をテレビのニュースで知った中学生の長女は、おにぎりを握って、自分なりに故人の供養をしたようです。
 考えてみれば、かつて、災害の時も葬儀の時も、何かあれば近所の人たちが集まり、おにぎりを握ってみんなに配っていました。おにぎりとは、思いやりのシンボルかもしれません。