第9回
一条真也
「愛する人を亡くした人へ」

 

 私は月が大好きです。いくら眺めても、飽きません。そして、私は月を見ていると、亡くなった人々のなつかしい面影が心に浮かんできます。
 世界中の古代人たちは、死者の魂は月に行くものだと信じました。規則的に満ち欠けを繰り返す月は、人間の「死と再生」のシンボルだったのです。
 そんなことを考えながら、「また会えるから」という歌を作詞しました。北九州が誇る夫婦デュオ「ココペリ」に作曲をお願いしました。死者からのメッセージ・ソングですが、大ヒットした「千の風になって」とは一味違います。あの歌は、死別の悲しみを癒すグリーフケア・ソングとしても注目され、実際の葬儀でもよく流されました。
 葬儀といえば、日本でいち早く誕生した総合葬祭会館である「小倉紫雲閣」が昨年の12月25日にリニューアル・オープンしました。館内には「月」をテーマにした癒しの空間「ムーンギャラリー」が、また屋外には月の満ち欠けに対応して形が変わる噴水を中心とした「月の広場」が完成しました。
 オープン式典で、ココペリが「また会えるから」を歌ってくれました。多くの方々から「故人を思い出して、涙が出た」などの感想をいただきました。ギャラリーで、噴水で、そして歌で、愛する人を亡くした人たちの心が少しでも軽くなりますように...。