27
一条真也
丹波哲郎

 

俳優の丹波哲郎さんが肺炎で亡くなられた。八四歳だった。映画「砂の器」やドラマ「Gメン75」で存在感を示し、国際派俳優としても活躍された▼しかし、何よりも死後の世界に強い関心を示し「霊界の宣伝マン」を名乗っていた。霊界についての著書を六〇冊以上書き、映画「大霊界」シリーズの総監督も務められた▼あれは、もう一五年近く前になる。「死」と「葬」についての考えを述べた抽著『ロマンティック・デス』を丹波さんが読まれて、連絡を下さったことがある。新宿の中華料理店で会食して意気投合。その後、数十回にわたって丹波さんのオフィスを訪れ、「霊界よもやま話」を交わした思い出がある▼そのとき、霊界以外のことで非常に大切なことを教えていただいた。現在、そのアドバイスが私を助けてくれている。感謝の念でいっぱいである▼よくギャグにもされたが、本気で霊界の存在を信じ、「死は怖くない」と広く訴えてきた。超高齢化社会を迎え、多くの人々が死の不安と向き合っている今こそ、そのメッセージは輝きを放つ▼葬儀が行われた青山斎場で献花をさせていただいた。「やっぱり、霊界は素晴らしいところだったぞ!」という丹波さんの野太い声が聞こえたような気がした。合掌。(一条)
2006年10月10日