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一条真也
スピ系ブーム

 

いま、守護霊・背後霊・霊能者・霊感といった言葉が、私たちのまわりにあふれ返っている。一日に何度となく目にしたり、耳にしたりする▼「霊」という言葉は、おどろおどろしい印象を与えがちだ。そのせいか最近では「スピリチュアル」というキーワードが流行し、「スピリチュアルカウンセラー」と称するカリスマ霊能者がメディアに登場する▼実際に霊的な世界を題材にしたテレビ番組などは高い視聴率を示す。週刊誌や月刊誌、単行本などでも、霊を取り上げる風潮は一向に衰えを見せない。これを「スピ系ブーム」というそうだ▼冠婚葬祭、特に葬祭は、霊の存在を前提としている。現在のブームが、人々の葬儀や法事に対する理解の一助になることを強く願うが、危惧する点もある▼多くの人が評判の霊能者のところにどっと押しかけて、無防備に、人生におけるあらゆることのお伺いを立てている。依存症を通り越して、自分を見失い、霊能者に自分の人生を預ける。これはやはり異様であり、危険だ▼一種のバブルではないかと思う。不動産にしろ、ITにしろ、バブルの後には必ず冬が来る。霊のバブル崩壊後、霊に関する話題がタブーとなり、葬儀の軽視にまでつながりはしないか。不安である。(一条)
2006年12月10日