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一条真也
心に残る仕事

 

学生の就職状況が好調のようだ。大変結構なことだが、サービス業の人気が低いのは困ったものである。面接の時は一様に「私は人が好きなので、ぜひサービス業に就きたいです!」と訴えた学生たちも、銀行やメーカーからの内定が出るや、喜んでそちらを選ぶ▼まったく情けないことだが、嘆いてばかりいても仕方ない。そんな彼らの心情を探ってみた。すると、サービス業が選ばれない理由としては「低賃金」「休みが不規則」などが思い浮かぶが、最大の理由は他にあった。すなわち、「仕事が形に残らないので不安」というのである▼たしかに、目に見えない形なきものを提供するのがサービス業だが、だからこそ価値があるのではないか。思いやり、感謝、感動、癒し、夢、希望など、この世には目に見えないけれども存在する大切なものがたくさんある。逆に本当に大切なものは目に見えないのだ。そして、それを売る仕事がサービス業なのである▼製造業はモノを残し建設業は地図に残る。ならば、サービス業は心に残る仕事に他ならない。さらに、お客様から「ありがとう」の一言があれば、もう言うことはない。特に、冠婚葬祭業というホスピタリティ・サービスは最高の仕事であると確信する。(一条)
2007年12月10日