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一条真也
東日本大震災

 

3月11日、日本に未曾有の大災害が発生した。「東日本大震災」である。じつに、わが国の観測史上最大となるマグニチュード9.0の巨大地震あった▼発生以来、毎日、死者・行方不明者の数が増えていった。大地震と大津波で、東北はまさに「黄泉の国」となった観がある。遺体の25%は身元不明であったという▼どこの誰だかわからない遺体をそのまま地中に埋めたのである。葬儀という営みが「人間の尊厳」に直結していることを再認識した。まさに、大地震は「無縁社会」を崩壊させ、大津波は「葬式は、要らない」という妄言を流し去ったのだ▼こんな中、『隣人の時代』(三五館)を上梓した。この大地震によって、日本に「隣人の時代」が呼び込まれるかもしれない。いま、多くの人々が隣人の助けを必要としている。「無縁社会」では、困っている人々を救えず、日本は存続していけない▼日本中で義援金が募集され、世界各国から支援部隊が来てくれた。いま、日本のみならず世界中の人が隣人愛を発揮しているのだ▼「隣人愛」とは「相互扶助」につながり、それは互助会の精神そのもの。「助け合いは、人類の本能」であることを知り、わたしたちも被災者のために具体的に何ができるかを考えたい。(一条)
2011.5.10