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一条真也
東アジアと『論語』

 

「東アジア冠婚葬祭業国際交流研究会」のメンバーになった。アジアの調査対象国の冠婚葬祭の文化の実態を調べていく。宗教との関わり、儀式のあらましや流れと意味づけを調べる。また、参加者の範囲と人数、わが国との共通点と相違点をまとめる予定だ▼今後のわが国業界のビジネスの高度化に資するものがないかを探るのが目的だが、私は「人間にとって冠婚葬祭とは何か」という、儀式文化の論理武装につながる気がする▼東アジアといえば、いわゆる「儒教文化圏」とほぼ重なる。儒教は中国で生まれ、朝鮮半島を渡って、日本に伝ってきた。儒教の開祖である孔子は何よりも「礼」を重んじたが、彼の母親は葬祭を業としていたとされる▼じつは私は、大学の客員教授として「孔子研究」の授業を担当している。学生の中には孔子が生まれた中国や、儒教が盛んな韓国からの留学生も多い。彼らに『論語』について教えることは、尊敬する孔子に対する恩返しだと思っている▼日本人のみならず、中国人や韓国人の「こころ」のDNAの中には、孔子が説いた「人の道」が生きていると信じる。 このたび、その授業内容をまとめた『世界一わかりやすい「論語」の授業』(PHP文庫)を上梓した。どうか、ご一読を。(一条)
2011.12.10