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一条真也
人生儀礼の世界

 

國學院大學オープンカレッジ特別講座がいよいよスタートした。全互協と互助会保証の共催で、「人生儀礼への取組みをよく深く知る」がテーマだ。5月20日、東京・渋谷の國學院大で第1回「豊かに生きる~人生儀礼の世界」が開催された▼同大学の石井研士教授が講義を一時間半行った。内容は「お祝いの文化」を再考するものであった。お祝いし、お祝いされることによって、わたしたちは元気になれる▼石井先生は「これまでの人生で何が一番楽しかったですか?」と聴講生たちに問いかけ、「それは、行事の時ではありませんか」と言った。雛祭りなどの年中行事、また成人式などの通過儀礼の時ではないかというのである▼そして、「もし『母の日』がなかったら、母親に『ありがとう』と言いにくいのではないでしょうか」と言われた。これを聞いてハッとした。この日はわが25回目の結婚記念日だったからだ▼朝、妻に「25年間、ありがとう」と言ったが、こんな機会でもなければ絶対に言えないセリフであろう▼メモリアルがあるからこそ、わたしたちは意味としての「ありがとう」を口に出すことができるのだ。儀礼が感謝の心を生み出し、人生を豊かにするのである。示唆に富んだ講義だった。(一条)

2014.6.10