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一条真也
日本民俗学

 

國學院大學オープンカレッジ特別講座の最終回に登壇した。講義テーマは「終活を考える」。わたしは、冒頭、「今日は國學院大學の教壇に立つことができて、感無量です」と述べ、國學院との御縁を話した▼日本民俗学が誕生した昭和10年に生を受けた父の母校が國學院である。また、父は亥年だが、ともに國學院の教授を務めた日本民俗学の二大巨人・柳田國男と折口信夫の2人も一回り違う亥年である▼そんな父が國學院で学び、日本民俗学のまさに中心テーマである「冠婚葬祭」を生業としたことに何か運命的なものを感じる。わたし自身は、父から思想と事業を受け継いでおり、幼少の頃から日本民俗学の香りに触れてきた▼國學院の「国学」とは、「日本人とは何か」を追求した学問で、契沖、賀茂真淵、本居宣長、平田篤胤らが活躍した。わたしの実家の書庫には彼らの全集がすべて揃っており、わたしは高校時代から国学に関心を抱いていた▼「日本人とは何か」という国学の問題意識を継承したのが、「新国学」としての日本民俗学である。わたしは、「無縁社会」とか「葬式は、要らない」などの言葉が流行するような現在、日本人の初期設定を見直す意味でも日本民俗学の再評価が必要だと思っている。(一条)

2014.12.10