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一条真也
熊本地震

 

熊本県で始まった地震活動は阿蘇地方や大分県に広がり、被害が拡大した。益城町でM6.5の地震が起きた後、16日未明にM7.3の地震が発生、これは1995年の阪神大震災に匹敵する規模であった▼この地震により、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された方々の不安や心配や苦悩が少しでも軽減されることを心から祈るばかりだ▼それにしても、今回の地震では改めて自然の脅威を嫌というほど思い知らされた。よく、「自然を守ろう」とか「地球にやさしく」などと言う。しかし、それがいかに傲慢な発想であるかがわかった。生殺与奪権は人間にではなく、自然の側にあるのである▼2010年1月、「葬式は、要らない」や「無縁社会」といった亡国のキーワードが生まれ、流行した。しかし、翌年3月11日に東日本大震災が発生。亡国の妄言は、M9の大地震が粉々に砕き、大津波が流し去った▼遺体も見つからない状況下の被災地で、多くの方々は「普通に葬儀をあげられることは、どんなに幸せなことか」と痛感した。やはり、葬儀は人間の尊厳に関わる厳粛な儀式であり、遺族の心のバランスを保つためにも必要な文化装置であると確信する。(一条)
2016.6.10