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一条真也
北九州の成人式

 

 冠婚葬祭は「冠婚」「葬祭」ではない。「冠」「婚」「葬」「祭」である。そして、「冠」は主に成人式だ。
 今年の「成人の日」の前日、何かと話題の北九州市の成人式が開催された。わたしは来賓として招待され、会場の北九州メディアドームを訪れた。
 行事は式典とアトラクションの二部構成。最初の式典は、「国歌斉唱」、市長の「主催者あいさつ」、市議会議長の「来賓あいさつ」があった。
 予想していたのとは違い、会場内の新成人たちはみな静聴していた。男女2人の新成人が、両親や周囲の人々への感謝の言葉を述べた。成人式に限らず、結婚式でも葬儀でも、通過儀礼とはすべて「感謝」の心を表す場なのだ。
 しかし、ここ数年来、北九州市の成人式は「派手すぎる」と注目を浴びてきた。その様子はテレビのワイドショーを通じて全国に流された。
 金銀の羽織袴や花魁姿で傍若無人に振る舞う新成人が話題を呼んだ。わたしは、「これは仮装大会のようなもので、ハロウィーンと同じだな」と思った。だが、彼らのヤンチャな姿が報道されると北九州市のイメージダウンとなる。
 かつて、サンレー沖縄に勤務する新成人が同級生との清掃活動によって、那覇の「荒れる成人式」を変えた。その姿は広く報道され、沖縄のイメージは一変した。
 そこで、今年からサンレー北九州でも、会場周辺で取り組む「おそうじ大作戦」を開始。オリジナルデザインのゴミ袋も製作、市に寄贈した。
 式典終了後、心ある若者たちは次々にゴミ袋を持って清掃を始めた。その姿を見たマスコミの取材クルーは、ど派手な連中から離れて、清掃する新成人たちの姿をカメラで追い始めた。わたしは、「北九州の成人式は変わる!」という確信を持った。地域の冠婚葬祭を正常化するのも互助会の使命である。
2017.2.20