118
一条真也
「簡易仏壇のすすめ」
 今回は、簡易仏壇の話をしたい。
 現代日本では、家族の結びつきが希薄になっているようだが、その一因として、ご先祖さまと自分がつながっていると感じる空間やツールが家の中にないことが挙げられる。
 家族がそれぞれ手を合わせて、意識を「同期」させるための場所がないからである。仏壇は、ご先祖さまという「目に見えない」ものを「目に見える」具体的な形にしたものだ。
 実家に先祖代々の仏壇があっても、いまの住まいには仏壇がない家庭も多いと思う。できれば、家族全員が気持ちを「同期」させ、手を合わせて祈る場所がほしい。必ずしも立派な仏壇でなくてもよいし、ご先祖さまの「位牌」がなくてもいい。
 そもそも仏壇とは、ご先祖さまの位牌を安置しておく場所ではなく、家の宗派が拠りどころとする「御本尊」を祀るべき場所である。いってみれば家庭内に寺院の本堂と同じ空間を設けることなのだ。
 そこで本格的な仏壇を備えるのもいいが、「簡易仏壇」を置くことを検討してはいかがだろうか。実際、核家族化が進み、親子二代だけという世帯構成が都心部ではほとんどだ。住宅事情や経済的制約を考えると、簡易仏壇は便利で現実的である。
 簡易仏壇の仕様は多種多様。材質や色調はもとより、デザインもシンプルさが基調となっており、中にはもはや仏壇とは思えないインテリアのようなものまである。
 仏壇に欠かせない三具足(ロウソク立て・香炉・花器)やお鈴も、小ぶりでモダンなデザインが流行っている。見ているだけで楽しい。
 年配者の中には、死者が出る前にお仏壇を置くなんて「縁起でもない」と考える方も少なくないようだ。 でも、お墓は寿陵(生前墓)というのも珍しくないし、位牌に戒名が書かれている個別の故人を供養するという目的でなくともいいのである。
 お仏壇を通じて、ご先祖さまに日々感謝をする。その目的のために簡易仏壇を求めてはいかがだろうか。