第16回
一条真也
『PRAY FOR JAPAN』prayforjapan.jp編(講談社)

 

 本書は、東日本大震災後のツイッターの言葉を集めたものです。今年の3月11日14時46分に未曾有の大震災が発生しました。それからわずか12分後の14時58分に、日本の地震のニュースを知った英語圏の男性が「prayforjapan(日本のために祈る)」とツイッターに投稿しました。
 この投稿以後、ツイッターをはじめ、フェイスブックやインスタグラム(写真共有サービス)などのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)には、世界各地から日本への祈りの言葉や応援のメッセージ、写真などが届き始めました。いずれも、キーワードは「prayforjapan」でした。その数は、じつに24時間で数十万件を超えたそうです。
 大震災の夜、栃木県北部の停電中の一時避難所で、あるWebサイトが生まれました。20歳の大学生が立ち上げた「prayforjapan.jp」というサイトです。彼は、サイトを立ち上げることによって、世界的な日本支援の動きをわかりやすく目に見える形にしたのでした。
 このサイトでは、海外からの応援メッセージだけでなく、インターネットに投稿された人々が助け合っていた様子、親子の心の交流、家族を想う気持ちなど、日本で起きた心温まるエピソードも紹介されました。
 本書には、被災者への激励の言葉、自衛隊員や原発の職員をはじめ様々な人々への感謝の言葉、そして隣人への「思いやり」の言葉も溢れています。わたしは『隣人の時代』(三五館)という本を書きましたが、まさに大震災後の日本に「隣人の時代」が到来したことを実感しています。