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一条真也
「ホワイトデーの夜はカラオケを」
 3月14日は、ホワイトデーだ。
 一般的にバレンタインデーに女性からチョコレートなどをもらった男性が、そのお返しをする日とされている。お返しの品としては、キャンディー、マシュマロ、ホワイトチョコレートなどが代表的である。
 バレンタインデーが生まれた欧米にはホワイトデーの習慣はない。
 これは日本で生まれた新しい記念日であり、中国、台湾、韓国など東アジアの一部でも定着しているようだ。
 昭和40年代に入ると、日本の製菓会社がそれぞれに独自の日を定め、チョコレートの「お返しの贈り物」としてビスケットやマシュマロ、キャンディーなどを宣伝、販売し始めた。日本におけるホワイトデーの元祖については、不二家、エイワ、そして博多の石村萬盛堂など諸説ある。
 フランスの社会学者マルセル・モースは、著書『贈与論』で、贈与を巡る義務として、贈り物を与える義務(提供の義務)、それを受ける義務(受容の義務)、お返しの義務(返礼の義務)の3つをあげた。
 日本においてバレンタインデーよりもホワイトデーのほうがスムーズに普及した背景には、「お返しの義務」があったように思う。物を贈ると「菓子」ならぬ「貸し」ができる。贈られたほうには「借り」ができる。日本男児としては、女子に借りがあってはならぬというわけである。
 ちなみに、わたしはバレンタインデーに大量のチョコを贈られた。相手は、家族をはじめ、読者、社員、夜の飲食店の方々などである。お返しとして、わたしはお菓子にブランド物のハンカチなどを添えて贈る。馬鹿にならない出費である。
 本音を言えば、もう義理チョコはいらない。まあ、「義理がすたれば、この世は闇だ」という言葉もあるか。たしか、村田英雄が歌った「人生劇場」の歌詞に出てきたと記憶している。今夜、カラオケで歌おうかな?
 そんなことを呟きながら夜の街に繰り出し、いつの間にやらハシゴ酒する奴。あっ!そりゃ俺だ(笑)。