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一条真也
「『風と共に去りぬ』の思い出」
 わたしの最新刊『死を乗り越える映画ガイド』(現代書林)が刊行された。帯には、「『風と共に去りぬ』から『アナと雪の女王』まで」というキャッチコピーが躍っている。
 じつは、わたしが初めて観た長編の洋画が「風と共に去りぬ」なのだ。たしか小学3年生ぐらいのとき、テレビの「水曜ロードショー」で観た。
 とても新鮮だったが、まず思ったのが「よく人が死ぬなあ」ということだった。南北戦争で多くの兵士が死に、スカーレットの最初の夫が死に、2人目の夫も死に、最愛の父親も死に、親友のメラニーも死ぬ。
 特に印象的だったのが、スカーレットとレットとの間に生まれた娘ボニーが落馬事故で死んだことだった。
 わたしは「映画というのは、こんな小さな女の子まで死なせるのか」と呆然としたことを記憶している。
 このように、わたしは「風と共に去りぬ」によって、「人間とは死ぬものだ」という真実を知ったのである。
 主役のスカーレット・オハラを演じたヴィヴィアン・リーの美しさに子ども心に一目惚れしたわたしは、「将来、この人に似た女性と結婚したい」と思った。ヴィヴィアン・リーの巨大ポスターをパネルにして、自分の勉強部屋に飾ったりした。
 「水曜ロードショー」では、ヴィヴィアン・リーの吹き替えを栗原小巻さんが担当したが、ラストシーンの「明日に希望を託して」というセリフが子ども心に深く残った。
 原作では"Tomorrow is another day"というセリフだが、訳書では「明日は明日の風が吹く」と訳していた。それをテレビでは「明日に希望を託して」というセリフに変えて、栗原さんが力強く言い放ったのだ。わたしは非常に感動し、わが座右の銘となった。
 先日、「風と共に去りぬ」をリアルタイムで上映した小倉昭和館の77周年祝賀会で、栗原小巻さんにお会いした。わたしは、栗原さんに少年時代の感動のお礼を申し上げた。栗原さんは、とても喜んで下さった。