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一条真也
「冠婚葬祭互助会誕生の地を訪れる」

 

 先日、わたしが会長を務める全国冠婚葬祭互助会連盟(全互連)の定時総会が横須賀の地で開催された。互助会は、名の通り、「相互扶助」をコンセプトとした会員制組織だ。
 終戦直後の1948年に、西村熊彦という方の手によって、日本最初の互助会である「横須賀冠婚葬祭互助会」が横須賀市で生まれた。そして、全国に広まっていった。いわゆる「平安閣グループ」と言われている互助会集団が全互連なのだ。
 互助会の歴史は70年ほどだが、じつはきわめて日本的文化に根ざした「結」や「講」にルーツがある。
 「結」は、奈良時代からみられる共同労働の時代的形態で、特に農村に多くみられ、地域によっては今日でもその形態を保っている。
 一方、「講」は、「無尽講」や「頼母子講」のように経済的「講」集団を構成し、それらの人々が相寄って少しずつ「金子」や「穀物」を出し合い、これを講中の困窮者に融通し合うことをその源流としている。
 このような「結」と「講」の2つの特徴を合体させ、近代の事業として確立させたものこそ、冠婚葬祭互助会というシステムなのである。
 日本的伝統と風習文化を継承し、「結」と「講」の相互扶助システムが人生の二大セレモニーである結婚式と葬儀に導入され、互助会は飛躍的に発展してきた。その互助会が提供するサービスは、今や結婚式や葬儀だけではない。
 出産祝い、宮参り、百日祝い、お食い初め、七五三、誕生会、入学祝い、成人式、卒業式、謝恩会、結納、結婚周年祝い、定年退職祝い、長寿祝い、厄払いの会、快気祝い、お彼岸、お盆、法事など、人生の通過儀礼および家族の慶弔にかかわる年間行事にまで、視野は広まりつつある。
 西村熊彦翁は、冠婚葬祭こそわが国の精神的文化であると提唱された。熊彦翁の墓前で、わたしは「互助会の火は消しません」と誓った。
 これからも、互助会は日本人の「人生の四季」を彩っていくだろう。