第12回
一条真也
「結婚は最高の平和」
 ある結婚式のエピソードです。
 新郎がアメリカ人で、新婦は日本人というカップルでした。
 新郎は日本語が話せず、担当の「むすびびと」は心配でした。
 しかし、挙式の数週間前に来日してから少しずつ挨拶をはじめとした言葉を覚えた新郎は、本番の結婚式ではすべて日本語で挨拶をしました。新郎のお父さんは残念ながら仕事の関係で来日できなかったので、新郎の弟さんが代わりにモーニングを着て、参列者に感謝のスピーチをするという一幕もありました。アメリカ美人の妹さんは新婦の着物を借りて着ていましたが、とてもよく似合っていて、本人も大変気に入っている様子でした。
 国際結婚の担当になるのは初めてだった「むすびびと」は、この両家の結婚を通じて、「たとえ日本人同士ではなくても、こんなにすてきな日本の結婚式ができるんだ」と感激しました。
 かつて日米が戦争をするという不幸な歴史がありましたが、深く愛し合い、思いやりを持って互いを見つめ合う新郎新婦を眺めながら、「結婚って、最高の平和なんだなあ」と心から思ったそうです。
 その「むすびびと」は、さらに結婚式の仕事が好きになりました。